11月2日~5日の4日間の日程で、京都府の城陽カントリー倶楽部を舞台に2021年度の日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)最終プロテストが行われる。10月に全3会場で行われた第2次予選通過者と、さまざまな条件をクリアして最終から参加する選手が、合格ラインとなる上位20位入りをかけて競い合う。
大一番を目前に控えた参加者たちは、どんな気持ちで追い込みをかけているのだろうか?
カメラを発見しおどける幡野夏生【写真】
10月末、赤く色づいた木々が緑の芝に映える富士桜カントリー倶楽部に明るい声が響く。ここでプロテスト合格を目指す選手が出場する「マイナビ ネクストヒロインゴルフツアー」の1試合が行われていたのだが、プレーヤーの1人だった幡野夏生は、いつものようにムードメーカーぶりを発揮しながら楽しそうにラウンドを続けた。カメラを向けると即座におどけたポーズ。18ホールを終えた後も「私は楽しいです」と元気いっぱいだ。そして「楽しくないのはプロテストだけ(笑)。も~頭を抱えちゃう」と冗談めかして笑う。

翌週に最終テストが控えるなか、あえてこの山梨での大会にエントリーした。「城陽は(グリーンの)コンパクションが硬かった。高い球を打ったり、どこに落とすかなどを試合のなかで確認できるのはうれしいです」と実戦をしながら最終調整することを選んだからだ。さらにこの後にももう1試合、同ツアーの大会に出場し京都へ向かうスケジュールが組まれていた。
8月に24歳になった幡野は、今回が6度目のプロテスト受験となる。今年1度目の開催となった20年度のテストは、第2次予選で涙をのんだ。
この時は「クラブが下りてこない。アイアン、ピッチングでも40ヤードくらい左に曲がったりして、どこに飛んでいくか分からない。毎回ダフってしまう」と極度のショット不振のなかでプレー。満足いくプレーができないまま終わってしまった。
その改善を目指し、現在は、日本在住の米国人で、YouTubeで動画配信も行っているキウイコーチに師事。まだ習い始めて2カ月ほどだというが、「大改造してます(笑)」と大幅にスイングを見直している。
大きな賭けのようにも聞こえるが、それをきっかけに徐々に立ち直りをみせ、今回最終までコマを進めた。
「毎日よくなってます! 伸びしろ、伸びしろ~(笑)」とここでもおどけてみせるが、元来ゴルフに関して「意外と考えるタイプ」とひたむきに取り組む性分。それだけに悩みも深くなるが、「新しい気持ちで臨めます。前はビビり倒して、日和っていたけど、今は自分のスイング次第だと思えるようになりました。プレッシャーもあるけど、自分のパフォーマンスができるか?」と、最近では余計なことは考えず、プレーに集中できる状態にまで戻すことができている。
東京・堀越学園高在学時の15年に韓国ツアーのQTを突破し、異国で現役女子高生プロに。
その後、18年からは国内ツアーにも参戦した。会場となる城陽はステップ・アップ・ツアーの「京都レディースオープン」の舞台でもあり、試合で回ったこともある。さらにテスト対策として、本番を意識した4日間ラウンドも2度実施済み。準備にぬかりはない。
「あの心境になるのはプロテストだけ。だから試合の流れのなかできるのはいい。
プロテストもマイナビネクストヒロインだと思ってやります(笑)。頑張るというか、ありのままで。…こんな真面目なコメントで大丈夫ですか?(笑)」。何度経験しても、独特な雰囲気は慣れるものではない。そのなかで“幡野夏生らしい”プレーと明るさを発揮し、悲願成就といきたい。

■幡野夏生 ツアー成績&プロフィール
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