「報道部畑中デスクの独り言」(第187回)

ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、新型コロナウイルス感染対策におけるテレワークで感じたことについて

テレワークで感じたこと~取材は「フェイス・トゥ・フェイス」「...の画像はこちら >>

ニッポン放送 NEWS ONLINE

新型コロナウイルス感染拡大を受け、ニッポン放送報道部でローテーションの組み換えなどの策を講じていることは小欄でもお伝えしましたが、社内でも各番組やHPでお伝えしている通り、考えられるあらゆる措置を行っています。

入館時の検温やアルコール消毒、スタジオでは紫外線殺菌照射装置や次亜塩素酸噴霧器、対面の飛沫を防ぐためのアクリル板の設置。そして、出演者についても間隔をあけるのはもちろんのこと、別室を設けたり、スカイプを使った遠隔出演など……

さらに、報道部からのニュースは、出演者のいるスタジオではなく、報道部フロアからお伝えしています。放送をお聞きいただくと、声が反響したり、周辺の音がざわざわしていると感じることがあるかもしれません。こうした措置によるものということで、何卒ご勘弁ください。

ちなみに政府の新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針によると、緊急事態宣言のときに事業の継続が求められる事業者(国民の安定的な生活の確保)の1つに、メディア(テレビ、ラジオ、新聞、ネット関係者等)があります。

私も今回、在宅勤務を行いました。

本来はデスク業務の他、外での取材活動がありますから、会社からすると“普段からテレワーク”とみえなくもありませんが、1日在宅勤務となると勝手が随分と違って来ます。

在宅で行っているのは、インターネットやテレビ会議を通じて実施される記者会見の取材、音声編集や原稿作成、電話やメールによる取材や打ち合わせなどです。また、スタジオで収録している番組について、自宅で収録が可能なのかどうかも試行錯誤しました。

テレワークで感じたこと~取材は「フェイス・トゥ・フェイス」「現場第一」

音声編集の作業も行う

血流が悪くならないように、2時間に1度ぐらいで体をストレッチ。協力してくれる家族には感謝です。実は小欄も自宅で執筆しています。

在宅勤務を行って感じたことは多々ありますが、最も感じたのは通勤の意味です。私は片道約1時間をかけて出社していますが、在宅勤務により往復約2時間が浮くわけで、そのメリットは小さくありません。就業時間を変えなければそのぶん休んだり、早く帰宅できるという計算になります。この間に時間を有効に使うことも可能です。

一方で、この通勤こそ、実は必要な時間だとも感じます。移動することで世の中の空気を肌で感じる、さまざまな気づきもある。

また、無心のなかでアイデアも浮かぶ、駅まで歩くことで運動になる……そのメリットも得難いものです。

自宅からの外出は極力控えていますが、歩くことが脳を活性化するというのは本当ですね。インターネットなどの発達で、情報を手軽に入手できる時代にはなりましたが、やはり情報を扱うためにも、外の空気を吸うことは大切なことだと改めて感じます。

プライベートでも外出は生活物資を入手するためには必要で、公私両面において、憲法22条にある移動の自由(正確には「居住と移転の自由」)の尊さを痛感いたします。

記者だけに当てはまるものではありませんが、情報を扱う仕事は以前、小欄でもお伝えしたように「フェイス・トゥ・フェイス」「現場第一」が基本。例えば、記者会見というものは、放送で頻繁に流しますが、あくまでも取材の一部。

背景を知るためにさまざまな補足取材も行います。

また、記者会見をリモートで行うことは、会見者の意向が強まる可能性も指摘されています。このような非常時ゆえ、やむを得ない措置と考えるべきで、これを機にそれが当たり前になるのは歓迎すべきことではありません。

テレワークで感じたこと~取材は「フェイス・トゥ・フェイス」「現場第一」

自宅で本稿を執筆した

感染拡大防止のために8割の外出自粛が求められています。特に医療に携わる方々の命がけの激務には頭が下がります。ウイルスという恐ろしい敵に打ち勝ち、普段の生活、経済活動に戻れるよう、いまはとにかく我慢のとき。

一刻も早い終息が望まれますが、取材活動を行う私たちも同じ思いです。(了)