黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(2月9日放送)に気象予報士の森田正光が出演。世界の気候変動について語った。

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「雪」

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。2月6日(月)~2月10日(金)のゲストは気象予報士の森田正光。4日目は、世界の気候変動が与える影響について

黒木)森田さんが書かれた記事には面白いものがたくさんありますね。

森田)1993年に「平成の米騒動」がありましたね。1991年にピナツボの噴火がありました。その火山の噴煙で冷夏になって日本のお米が不作になってしまったのです。日本米が足らなくなってタイのお米が増えて、「タイ米騒動」が起きました。

黒木)ありましたね。

森田)タイ米騒動では当時、「タイのお米は不味い」と言われましたが、それはタイのお米の食べ方を知らなかったからなのです。いまでもタイ米などの「長粒米」はよく売られていますよね。

黒木)美味しいです。

森田)あのときに美味しく食べる方法がわかっていたら、時代が変わったかも知れません。

黒木)そのときにはラップがよく売れたそうですね。何にでも使えるから。

森田)皿の上にラップを敷けば、使ったあとにラップを捨てれば皿を洗わなくて済む。天気によって意外なものが売れることがあります。

黒木)なぜ「雪」という漢字は、「雨」に「ヨ」と書かれているのかということについても書かれていますね。

森田)雪にある「ヨ」は「帚(ほうき)」という字から来ているのです。雪が降ると、辺り一面がきれいに真っ白になります。それは、「神様がやって来て掃き清めてくれて白くなった」という意味合いが字にあるのです。

黒木)綺麗な漢字ですね。

森田)また、「雲」という字がありますが、あの字を見ると上昇気流が雨をつくるということがわかるのです。昔の人は上昇気流がどうなのかということは知りませんでしたが、直感で観察していて、そのことを知っていたのでしょうね。

黒木)昔の人はすごいですね。

森田)本当にすごいと思います。

なぜ「雪」という漢字は、「雨」に「ヨ」と書かれているのか

※イメージ

黒木)世界の気候変動について教えていただきたいと思いますが、世界はどうなっているのでしょうか?

森田)100年前に比べて、地球全体の気温が1度以上上昇していることは確かです。このままの勢いでいくと、2100年ごろには3度くらい高くなるだろうと言われています。現在は地球が温暖化している過程なのです。

黒木)年々温暖化が進んでいる。

森田)なかには「地球が温暖化して何が悪いの?」と言う人もいます。暖かいからいいではないかという感覚も何となくわかりますが、温暖化になると、どこかで大雨が降ったり、どこかで干ばつが起きたりと、いままでとは違う天気が現れるのです。

黒木)そうですよね。

森田)温度が高くなると、動物は何とか対応できるのですが、植物は対応できないのです。高山植物などのなかには絶滅してしまうものもあります。気候帯がズレると、そこに生えていた木が徐々に絶滅していきます。

黒木)温度が高くなることで。

森田)いま地球上には500万~3000万種類くらいの生物の種類がいますが、そのほとんどは植物に依存しています。木の根には虫や微生物が寄生していますが、木が枯れてしまうと虫や微生物も死んでしまいます。虫や微生物が滅びることによって、それよりも上位の鳥や爬虫類、哺乳類などの生態系全体が崩れていきます。

黒木)なるほど。

森田)気候全体が変わると、生態系自体も変わってしまうという恐ろしさがあります。

黒木)このまま温暖化が進むと、人は何とか生き延びられたとしても、そこで育っていた植物たちが追いついて行かないという考え方なのですよね。ということは、北極の氷も大変ですよね。

森田)実際に溶け始めています。ただ、北極の氷が溶けても海水面そのものは上がりません。しかし、そこに住んでいるホッキョクグマなどには大きな影響があります。

黒木)日本もですか?

森田)日本はそれほど影響がないと思います。日本は防潮堤がしっかりしているのです。

黒木)防潮堤がしっかりしている。

森田)ただ、海岸部分は削れていくという試算がありますので、人ごととは言えないと思います。

なぜ「雪」という漢字は、「雨」に「ヨ」と書かれているのか

森田正光 / 気象予報士

森田正光(もりた・まさみつ)/ 気象予報士

■1950 年・名古屋市生まれ。72歳。
■財団法人日本気象協会を経て、1992 年に初のフリーのお天気キャスターとなる。
■1992年、民間の気象会社 株式会社ウェザーマップを設立。
■親しみやすいキャラクターと個性的な気象解説で人気を集め、テレビやラジオ出演のほか全国で講演活動も行っている。
■2005年、財団法人「日本生態系協会」理事に就任。
■2010年から環境省が結成した生物多様性に関する広報組織「地球いきもの応援団」のメンバーとして活動。 環境問題や異常気象についての分析にも定評がある。

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