山田風太郎作品から『NARUTO』まで。忍術の根源を明らかにする 秘中の奥義書、ついに開陳!!

山田風太郎作品から『NARUTO』まで。忍術の根源を明らかにする 秘中の奥義書、ついに開陳!!


『完本 万川集海』(国書刊行会)
映画や小説、漫画やアニメにも登場する忍者。しかし、私たちの思い浮かべる忍者のイメージと、歴史上存在した忍者の姿とは実は大いに違う。真の忍者とは? 伊賀・甲賀の忍術書の中でも秘伝中の秘伝であり、数々の創作の参考にもされてきた『万川集海』がついに現代語訳原文で完読可能に! 愛好家垂涎の本書を本文からの抜粋で紹介する。


◆過酷な世界で生き延びるための、技術としての忍術
◇伝書『万川集海』と忍術の世界
「まんせんしゅうかい」または「ばんせんしゅうかい」と読む。全流ではないがその本文に「伊賀と甲賀四十九流の忍術をまとめた」とあるように、『万川集海』は各忍家の家流を総集した書である。内容的には忍術の具体的な方法に加え、忍術の意義、由来、忍者の心得などを繰り返し述べて、忍術の価値を伝えている。

忍術が伊賀と甲賀の地で誕生し、大きく成長したのは中世混乱期の歴史地理学的理由によるものである。古代では斑鳩、紫香楽、藤原、奈良、京都、滋賀など古都に隣接しており、絶え間なく外来の文化や中央政治の影響を受け続けてきた。加えて領主の統治力も低かった。そんな環境が術技を育んだ。
さて、群立した弱小土豪が共存するには約束事、すなわち「掟」が必要である。消耗一方向となる共食いを避け、強大な守護大名や戦国大名に対抗するには一致協力する以外にはない。この基本構造で激変する歴史を乗り切る。それは歴史民俗学的に伊賀・甲賀独自の盗賊術と潜入術、薬方、信仰と呪術、信号、火術、平地や山地での昼夜行動術、観展望気、食法その他諸々の生きる術を結集して“総合生活術”とでも表現すべき忍術を体系化していったというわけである。忍術の成長に関係した多くの職種のうち、中世芸能集団や宗教集団は特筆に値するだろう。例えば吉野大峰山修験道だけ挙げてみても、修験者たちの連絡網、法螺貝通信、明松法、山川跋渉術、呪術、精神統一法、薬法、山伏行、地形解読、夜間行動、径路発見、水や食の確保など、忍者の得る所は多い。弱者が多方面に積極的に参加して、多種多様な技術を吸収し、消化吸収したものが忍術であり、その多様性が生活全体を支える技術までに拡がったと考えてよいだろう。換言すれば伊賀と甲賀は心身ともに他国とは全く異なった生活様式、すなわち「極限状態で生活した歴史民俗学」が存在していたのである。...続きを読む

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