破滅型作家が放つ私小説、ルーティンに透ける凄み

◆半歩遅れの読書術――破滅型作家が放つ私小説、ルーティンに透ける凄み
人と人の世の中、とりわけその基底にある論理を知りたい――この興味関心からして、読書はノンフィクションに偏る。フィクションだとやりたい放題になるので、ロジックを追えない。抜群に面白い小説であればその世界にトリップできる。しかし、そこまでの作品はそうそうない。たまにはその時々に絶賛されている小説に手を出してみるのだが、「それほどかな……」と思うことが多い。根が想像力に欠けているのかもしれない。

例外は私小説だ。完全なノンフィクションではないにしても、僕の貧困な想像力でも人間のリアルな本質に接近できる。現役作家でいえば、大好物は西村賢太。

どれを読んでもきっちりと面白い。西村作品はそのほぼすべてが特定少数のテーマの変奏である。悪く言えばワンパターン(登場人物がすべて著者その人なのだから当たり前)、よく言えば安定感抜群。芥川賞受賞作の『苦役列車』(新潮文庫)もいいが、僕にとっての最高傑作は初期の短編集『どうで死ぬ身の一踊り』(講談社文庫)に収録の「一夜」。ラストシーンには鳥肌が立った。私小説に固有のパワーに心底感動した。

破滅型作家が放つ私小説、ルーティンに透ける凄み


『苦役列車』(新潮社) 著者:西村 賢太
破滅型作家が放つ私小説、ルーティンに透ける凄み


『どうで死ぬ身の一踊り』(KADOKAWA) 著者:西村 賢太西村賢太の日記『一私小説書きの日乗』(角川文庫)シリーズは小説に輪をかけて面白い。判で押したように同じルーティンを繰り返す日々。それが何年も続く。確立された生活と

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