要注意!? 錯乱と妄想にまみれた禁断の書!

要注意!? 錯乱と妄想にまみれた禁断の書!


『死者の饗宴』(国書刊行会) 著者:ジョン・メトカーフ
20世紀英国怪奇文学における幻の鬼才、ジョン・メトカーフ。知る人ぞ知る怪異談や幽霊物語の傑作を執筆し、怪奇・幻想文学ファンの間では評判となりながらも、何故か単行本の出ることのなかった異能の物語作家による待望の短篇集がついに刊行! そのメトカーフの数奇な人生について、翻訳者の横山茂雄氏の解説から抜粋してご紹介します。

◆ジョン・メトカーフとは何者か
英国の作家ジョン・メトカーフの名前は、我国の読者にはあまり馴染がないかもしれない。幾つかの作品がかなり早い時期から翻訳されているものの、いずれも散発的な紹介にとどまり、異能の物語作者としてのメトカーフの全体像を窺い知るのは困難な状況が続いてきたからだ。とはいえ、英米でも事情はさして異ならず、彼の遺した怪奇小説、超自然小説の中短篇群がようやく1冊にまとめられたのは、死後30年以上経った1998年のことにすぎないうえに、少部数の限定本としてカナダで上梓されるにとどまった。

メトカーフの知名度が低いままである理由として、彼の全作品の中で怪異譚の占める割合は多くはないうえに、間歇的に執筆されたことがまず挙げられよう。そもそも、いわゆる怪談集というものを生前のメトカーフは刊行したことがなかった。また、彼の秀作の大半では、曖昧さが無気味な雰囲気を醸成するのに大きな効果をあげているが、そのいっぽう、整合性のある解釈、ひとつに確定した読みが困難あるいは不可能になるという点で難解、晦渋と化す。さらに、彼の作品群の孕む狂気と妄想──それはわたしたちの日常の現実を突き崩し、脳髄がじかに侵犯されるかのごとき危険な眩惑感、眩暈感を惹起する。したがって、エンターテインメントとして広範な読者に受け容れられることはなかったわけだが、これは同時にメトカーフの尖鋭性の証しといえる。たとえば、20世紀後半に怪談というジャンルを極限まで追求したロバート・エイクマンにしても、メトカーフという先駆的存在からの影響を抜きには考えられないだろう。

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