◆グローバルに職探し
「5大陸13カ国15職体験物語」がサブタイトル。一年半のうちに、著者がひとりで体験した。
単に「13力国」ならヨーロッパをこまめに回れば、できなくはなさそうだが、「5大陸」となると、そうはいかない。いったいどうやって? と、まず好奇心がわく。なかなかうまいサブタイトルのつけ方だ。
『世界でさがす、私の仕事』(篠田香子著・講談社)は、タイトルから、国際版転職マニュアルを想像する人もいるだろう。が、いわゆるマニュアル本の枠におさまらないことは、読むうちにわかる。
評者を含む大多数の日本人は、英語そのものにコンプレックスがあるから、著者が船舶の仕事をする父のもとに生まれ、小さいときから外国で育ったと知ると、どこかでほっとしたりする。
「なあんだ、やっぱりはじめから、自分たちとは違うのだ」
あるいは「東京で使えないヤツはニューヨークでも香港でもロンドンでも使えない」みたいな、著者のストレートな物言いに、反発を感じるかもしれない。
が、結論から言えば、それだけでそっぽを向くのは、もったいない。
プノンペンの孤児院で英語を教え、ミラノの高級ブティックでバッグを売り、カリブ海の豪華客船にスチュワーデスとしてもぐり込む著者。いかにして職についたかの記述は、少ない。
就職活動といえば、インターネットで情報を得たり、関係しそうな機関に直接出向いて調べたり、わずかなつてをたよりに、ひたすら履歴書を書きまくる。したい仕事を探しあてるのに、マニュアルなどないことが、読者にもわかってくる。