経済学で感動したことはありますか? 1989年に彗星のごとく現れた、現代経済学を変えた一冊

経済学で感動したことはありますか? 1989年に彗星のごとく現れた、現代経済学を変えた一冊


『定本 現代イギリス経済学の群像:正統から異端へ』(白水社) 著者:根井 雅弘
経済思想史研究の第一線で活躍しながら、旺盛な執筆活動を続ける、京都大学教授の根井雅弘氏。1989年に根井氏が初めて世に問うた単著が『現代イギリス経済学の群像』である。「定本」として蘇った本書にまえがきとして寄せられた、根井氏の熱いメッセージをお届けしたい。


◆経済学で感動したことはありますか? 1989年に彗星のごとく現れた、現代経済学を変えた一冊
社会主義体制の崩壊とリーマンショック
本書の初版は、1989年4月、岩波書店から刊行された。三十年前のベルリンの壁が崩壊する約半年前だった。だが、四月の時点でも、社会主義体制はすでに崩壊過程に入っており、「資本主義対社会主義」という古い図式が過去のものになろうとしていることが次第に明白になっていた。

壁の崩壊後、勝ち誇った資本主義諸国の経済論壇では一時「市場原理主義」という自由放任主義の亜種が流行し始めたが、それが現実の政治も動かし始めると、過去の歴史や思想史に通じた経済学者は、それがいわゆる「格差社会」を生み出すだろうということを真剣に懸念するようになった。その心配は的中した。ほぼ十年後、橘木俊詔氏の『日本の経済格差』(岩波新書、一九九八年)が刊行されたが、一億総中流だった日本でも格差拡大の動きがみられることが明らかになったのである。

だが、わが国では、二十一世紀に入っても小泉政権が構造改革路線を追求するようになったので、その後、各種の不平等(所得や資産の不平等だけでなく、正規労働と非正規労働の格差、教育格差など)の拡大が続いた。橘木氏は、さらに『格差社会』(岩波新書、2006年)においてそのような実態を暴露したが、この頃になると、さすがに市場原理主義のような粗雑な思想で経済問題を解決することはできないということが多くの識者にも理解されるようになった。そこに世界を震撼させたリーマンショック(2008年9月)が起こったのである。

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