SDGsブームの今考える、「環境にやさしい」政策の功罪

SDGsブームの今考える、「環境にやさしい」政策の功罪


『反転する環境国家―「持続可能性」の罠をこえて―』(名古屋大学出版会) 著者:佐藤 仁

◆SDGsブームのいま、「持続可能性」を問う
環境問題をいわゆる「環境好き」の人びとの考察対象にとどめず、統治・支配のあり方を議論するうえでの格好の素材として見出す書
刺激的なタイトルである。「環境国家」という言葉は、そのおおよその意味を推し量ることはできるが、それほど馴染みがあるものではない。ドイツの環境法学者らが環境国家(Umweltstaat)を論じることがあり、また本書でも言及されているように英語圏においても環境国家は議論されてはいる。しかし、「環境国家」という言葉は人口に膾炙しているわけではない。さらにそれが「反転する」とはどういうことなのだろうか。何が論じられているのか興味をそそる表題である。

これまでの先進諸国の環境政策研究のなかで論じられてきた「環境国家」とは、著者の整理によれば、環境行政官庁や体系的な環境法が整備され、環境専門家が育成されている国家とされる。

一方、東南アジアでのさまざまなフィールドワークを通じて著者が見出した「環境国家」とは、「(特に地域の人々から見て)環境保護や資源の持続可能性確保を目的に行われる介入の影響が、自然環境だけでなくその地域の人々の暮らし全体に及ぶようになった国家」(12頁)である。そして、環境国家の反転とは「「環境保護」の大義の下に、地域の人々の生活が国家の枠組みに翻弄されて、人々と自然環境との関係がかえって悪化していくこと」(iii-iv頁)を指しており、言い換えると、中央・地方政府や国際機関などによる環境政策が、地域の人びとを管理するための道具へといつのまにか転化することである。「こうした転化は、格差や不平等を拡大し、地域の人々の環境保全意欲を低下させ、さらなる環境劣化の引き金になりうる」(10頁)と著者は警告する。

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