声高に語られることのない、印刷をめぐる多彩な仕事ぶり

声高に語られることのない、印刷をめぐる多彩な仕事ぶり


『印刷・紙づくりを支えてきた34人の名工の肖像』(グラフィック社) 著者:雪 朱里

◆声高に語られることのない 印刷をめぐる多彩な仕事ぶり
友人のひとりに、実家が印刷会社を営んでいる人がいる。小学生のころ、よく近所の活字鋳造工場にお使いに出されたそうだ。「組版に必要な活字が足りない、急ぐのに誰も現場を離れられないから、すぐ自転車で受け取ってこい、と」。近所には、活字鋳造や植字を生業(なりわい)にする職人さんの自宅兼仕事場があり、子どもなりに思っていた、と彼女が言う。「自分の親もふくめ、印刷業にかかわるひとは一様に佇(たたず)まいがひっそりとしていた」

本書は、印刷物や書物にたずさわる人々の仕事を伝える一冊。雑誌『デザインのひきだし』に、十一年にわたって連載された「名工の肖像」三十三回分と書き下ろし一回分を収録するもので、三十四人のポートレート、各仕事を紹介するカラー写真、ルポルタージュで構成される。

印刷や紙づくりにたずさわる仕事の多種多様なこと! その奥行きに、あらためて驚きと感動を覚える。〈文字や組版〉〈紙〉〈製版・印刷〉〈製本・加工〉の四分野。すでに消えた仕事もある。たとえば、一九二二年生まれ、清水金之助さんが手がけた種字彫刻。活版印刷で使われる活字の母型の、さらにおおもとの種字を手で、しかも逆さに彫る神業。昭和三十年代に彫刻機が普及、清水さんは昭和五十年に廃業を余儀なくされたが、八十歳過ぎて活字研究のために請われて仕事を再開した、その人生の道のりを描く。あるいは昭和三十年代、日本の書籍・新聞の六割以上を手がけた岩田母型製造所の元社長、髙内一さんが文字開発をつうじて見てきたのは、日本の印刷技術の日進月歩である。

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