同じ世界に生きる人々の苦しみに、なぜ私たちは無関心でいられるのか?

同じ世界に生きる人々の苦しみに、なぜ私たちは無関心でいられるのか?


『明日をさがす旅 故郷を追われた子どもたち』(福音館書店) 著者:アラン・グラッツ
ナチスドイツから逃れるユダヤの少年、カストロ政権下のキューバを出てアメリカに向かう少女、内戦下のシリアからヨーロッパをめざす少年、3人の難民となった子どもたちの運命を描いた新刊『明日をさがす旅 -故郷を追われた子どもたち-』。刊行によせて、紛争や貧困、災害の取材をしてこられたフォトジャーナリストの安田菜津紀さんにエッセイを書いていただきました。同じ世界に生きる人々の苦しみに、なぜ私たちは無関心でいられるのか。厳しくも大切な問いが投げかけられるエッセイです。繰り返される痛みの歴史を絶つために、今、私たちができることを一緒に考えてみませんか。


◆日本にも続く「難民の道」
安田菜津紀
ナチスの手を逃れドイツからキューバへと渡ろうとしたヨーゼフ、自由を求めキューバからアメリカへ海を越えようとしたイザベル、内戦で国を追われシリアからドイツへと旅を続けるマフムード。それぞれの「物語」の主人公たちは、大人にならざるをえなかった子どもたちだった。危機に瀕し動揺する大人たちを前に、時には彼らに成り代わり、時には彼らの前に立ち、家族を守ろうとする。本来であれば学校に通い、親しい友人たちとふざけ合い、好きな音楽を楽しんでいた世代だろう。

そんな彼らの内面の揺れ動きや、指先の感覚までもが、本書ではとても繊細に描かれている。家族を蔑まれたときに感じた耳まで熱くなるほどの怒り、収容所の苦難がたまりきったかのような大人たちのすえた匂い、心が空洞になってしまったかのように無表情な弟、息もできない猛烈な催涙弾の嵐、海の中で感覚を失っていく手足。犠牲者や難民が「数字」に置き換わってしまうニュースの中だけでは、決して伝えきれない人間の息吹がそこにはあった。

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2020年2月28日のライフスタイル記事

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