老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。
そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、国民年金保険料の未納期間がある場合の、老齢基礎年金の受給額の計算についてです。

■Q:国民年金を満額受け取るには480カ月の納付が必要と聞きます。もし数カ月足りない場合、「満額×(納付月数÷480)」で計算できますか? それ以上に減額されることはありますか?
「国民年金を満額受け取るには480カ月(40年)納める必要があると聞きました。もし数カ月足りない場合、受給額は『満額×(納付月数÷480)』で計算できますか? それ以上に減額されることはありますか?」(MACさん)

■A:原則として「満額×(納付月数÷480)」で計算されます。それ以上に特別な割引がされることはありません
老齢基礎年金は、20歳から60歳になるまでの480カ月、国民年金保険料を納付すると、65歳から老齢基礎年金を満額受け取れます。つまり、国民年金保険料を納付した期間の割合に応じて金額が決まります。そのため、例えば納付月数が480カ月より少ない場合には、その分だけ減額されますが、それ以上に特別な減額がされることはありません。

▼老齢基礎年金の計算方法令和7年度の老齢基礎年金の満額は83万1700円です。年金額は次の式で計算されます。

83万1700円×{保険料納付済月数+(全額免除月数×4/8)+(4分の3免除月数×5/8)+(半額免除月数×6/8)+(4分の1免除月数×7/8)}÷480

免除を受けた期間がある場合は、その割合に応じて一部が年金額に反映されます。また、免除期間を後から「追納」した場合は、保険料を納めた月として扱われ、満額換算されます。


国民年金の納付期間には、厚生年金に加入していた期間(第2号被保険者)や、その扶養配偶者だった期間(第3号被保険者)も含まれます。そのため、自営業以外の期間も、年金額の計算に反映される仕組みです。

自営業などの第1号被保険者が付加保険料(月200円)を納めていた場合は、納めた月数に応じて年金額が上乗せされます。

例えば10年間納めていれば、200円×120カ月=2万4000円が年額に加算されます。

国民年金の老齢基礎年金は、あくまで納付状況に比例して算出されます。未納期間があるとその分は減りますが、それ以上に特別な減額がされることはありません。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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