1969年のデビューから50年…『太陽戦隊サンバルカン』『宇宙刑事ギャバン』『戦闘メカ ザブングル』『キン肉マン』といった特撮・アニメ番組主題歌に加え、「富士サファリパーク」などのCMソングを数多く歌ってきた歌手・串田アキラ。デビュー50周年記念ベストアルバム「Delight」に収録される曲を中心に、歌手としての50年間、そして歌に対する想いを聞きました。
前後編の2回に分けて紹介します。

デビュー50周年記念アルバムを発売する串田アキラに、歌手としての50年間を歌に対する想いを聞く!!〈前編〉

◆暗かったデビュー時代から『サンバルカン』!

ーーデビュー50年の実感というのはございますか?

串田 ここまできたかという感じですね。まさか、50周年なんてやると思っていませんでしたね。40周年やったときに、何かやるのは最後だろうなと思っていたんです。

ーーそこから10年経って、まだまだ新曲も発売され、現役で歌われています。

串田 おかげさまでね。
このくらいになったらだんだん新しい曲は、もっと若い人にどんどんいっちゃうはずなんですが…新曲をいただけて、うれしい限りですね。

ーー「Delight」収録されている、いろいろな曲のお話をお聞きしたいのですが、まずデビュー曲の『からっぽの青春』は、どういう曲だったのでしょう?

串田 元々これは外国の曲で、それを日本語に訳した曲なんです。僕としてはすごく歌詞の内容が強力かなと。「むなしい むなしい この青春」ですから。自分自身はこういう風には思っていなかったんだけど、当時世の中がこんな状態になっていたんじゃないかな。フォークソング時代でしたし。
自分は「むなしい むなしい この青春」って歌いたくなかった(笑)。俺、むなしくないんだけどって! むなしさを出すのが、ちょっと辛かった思い出がありますね。

ーーそうだったんですね。時代的には高度経済成長が続き、環境問題などが取りざたされていた時期です。

串田 そうですね。何ていうか、内省的な曲がすごく多かった時代ですね。
フォークソングの歌手の方は世の中の情勢的なものを歌ってたかな。でもどっちかというと、僕はデビューしたら明るく陽気にいきたかった。僕はデビュー前はR&Bをずっと歌っていたので、ソウルというか黒人の歌が多かったわけなんです。それでレコード会社が「黒っぽいフィーリング」っていう風に売り出していたんですが、それがだんだんと「暗っぽい」っていう風に勘違いされちゃったのかな、と。僕はどんな歌でも、楽しく歌いたかったんですけど…多分その「暗い」イメージ作りをされて、この頃の写真って笑った顔がなかったんじゃないかな。

ーーなるほど…それを経て「Rollin Into The Night」で映画『マッド・マックス』の日本版主題歌を担当するんですね。


串田 これはびっくりしたんですよね。デビューした頃、『ステージ101』という番組の「ヤング101」というグループに入ってたんですが、作曲したのがそのメンバー惣領(泰則)氏だったんですよね。作詞もその仲間の、ビル・クラッチフィールドでした。それで最初に『マッド・マックス』の映画の内容をちょっと聞いたんですが、歌詞がそれとは違うなと。日本だとそういう復讐とか、そんなことできないから、暗い闇に消えていく…そんなイメージでしたね。

ーーそして次にくるのが『太陽戦隊サンバルカン』ですが、これは串田さんにとって、かなりの転機だったのではないでしょうか?

串田 そうですね。
それまではポップスだったり洋楽だったのですが、小さなお子さん向けということで。最初は簡単でしょうと思って、レコーディングに臨んだんです。ところが、難しかった。ディレクターの方から「串田君、かっこよく歌ってね」と言われたんです。子どもさんの心を掴む、そういう意味で言われたと思うんですが、その時はそれがわからなかった。格好よく…じゃあって自分の思う通りに、大人の歌いかたの抑揚でやっちゃったんですよ。
「違うんだよね」「格好よく、だよ」と、何度も録りなおして。子どもの曲と簡単に考えていたのが大間違いでした。

ーー何テイクくらい録ったかは、覚えていますか。

串田 何回かは忘れましたけど、相当やりましたね。当時はダメな部分だけもう1回やるのではなくて、1コーラス通して歌うんですよ。「違うんだよね」と言われて、どこが違うのかは教えてくれないんです。最終的に、自分自身が格好いいと思うのを抜きにして、普通に譜面を見て、わっと開き直った感じで歌ったんです。そうしたら「やればできるじゃない」と言われてOKでました。

デビュー50周年記念アルバムを発売する串田アキラに、歌手としての50年間を歌に対する想いを聞く!!〈前編〉

◆『宇宙刑事ギャバン』で開眼!?

ーーそこから『宇宙刑事ギャバン』になるわけですね。

串田 『宇宙刑事ギャバン』のスチールを見た時は、格好いいなこれって。絶対ずっと残るなって、その時思いました。収録には、主役の大葉健二さんとヒロインの叶和貴子さんが応援に来てくださったんですよね。これは頑張らなきゃって、気合が入りましたね。

ーー『ギャバン』のときには『サンバルカン』の時のように、録り直しはなかったんですか?

串田 『サンバルカン』のときにはわからなかったんですが、『ギャバン』を歌ったときに、そんなに何テイクもかからないでOKが出たんです。その時に、全部わかったような気がします。よく考えたらこれなんだよね、というのがわかったんですよね。それで『サンバルカン』を聴き直したら、そうかそうかってOKになった理由もわかりました。

ーー今考えると、どういうところだとご自身で思いますか。

串田 言ってる言葉ひとつひとつが、ものすごくわかりやすく伝わっているんじゃないかなって思うんですよね。そして『ギャバン』には、格好よさや強さがあるんですが、その中に秘めた優しさがあったんです。蒸着して変身する前の状態であっても、大葉さんの眼力はすごかったですが、その中に優しさがある。ヒーローには優しさがあるなと感じたんです。そこから「多分これだよな」っていうのがわかったんですね。

ーー『ギャバン』は、山川啓介さんの歌詞もすばらしいですよね。

串田 すごかったですね。いきなり冒頭から「男なんだろ」と言われて「はい!」ってなっちゃう。そういう、何か伝わるものがあったのかなって。EDの『星空のメッセージ』にしても歌詞がすごくいい。でも、いくら詞がいいからと言っても、自分の抑揚を出すなって言われました。やっぱりそこですよね。『星空のメッセージ』はスローなバラードだから、R&Bの抑揚を本当は出したかったんですよ。でもそれをこらえて、ストレートに子どもたちにわかるように、伝わるようにと歌いましたね。

ーーその頃は、ステージで歌われたりっていうのはあったんですか。

串田 『サンバルカン』も『ギャバン』も、ステージといっても、ヒーローショーの前に歌うという感じでしたね。ただ僕はバンドもやっていたので、それほどは出来なかったんですよ。大きなイベントの時だけ出たりしました。日曜日の昼に子供たちの前で歌って、夜はバンドで違うところで大人の前で歌うという。すごいギャップがありましたね。ヒーローショーの前に広いステージで歌おうとしても、当時の子どもたちはシャイだから集まってこない。司会のお姉さんが「良い子の皆さん、後ろのほうにいないで前のほうにきてください」って言っても、誰も来ないんですよ。みんな遠目で見てる。このままじゃ始められないので、呼ばれる前にステージに上って、お姉さんにマイク貸してもらって、子どもたちに「コラ! 何やってるんだ!」(笑)。そうしたら子どもたちが口をとんがらせて「何だよ!」と前に出てきたんです。ひとり出てきたら、その後からぞろぞろ出てきて、みんなバーっと出てきて。そのときに「やった!」って思ったんですよね。大人として子どもに接するより、友達になっちゃったほうがいいなと思って、子どもたちと同じ口のききかたでいこうと思ってやったんですね。そうしたらもう終わってからも僕の周りに来て、「ギャバンに会えるの?」とか質問してきたりして。あれがなかったら、遠いままで終わったのかなって思います。

ーー素晴らしいです。今の特撮番組のシンガーたちも、子どもたちとやり取りしていますが、昔から串田さんがやられていたんですね。

串田 大人とか子どもとかって、差をつけないことで絶対仲良しになれますね。

デビュー50周年記念アルバムを発売する串田アキラに、歌手としての50年間を歌に対する想いを聞く!!〈前編〉


<串田アキラ Profile>
10代の頃から米軍のベースキャンプでドラムをたたきながらリズム&ブルースを歌う。
1969年「からっぽの青春」で東芝エクスプレスよりデビュー、 NHK「ステージ101」に出演。
1981年の「太陽戦隊サンバルカン」を皮切りに「宇宙刑事ギャバン」「キン肉マン」など、特撮・ヒーロー、アニメソングを中心に「富士サファリパーク」「ALSOK」などのCMソング、ゲームソフトのテーマなどで活躍。
2003年の「アバレンジャー」のエンディング・テーマ「We are th ONE~ぼくらはひとつ~」で親子三代に聞かれる歌手に。
2010年「仮面ライダーオーズ」変身ベルトの音声で出演。2011年TVアニメ「トリコ」オープニングテーマを担当。
また2019年も アニメ『ジモトがジャパン』オープニングテーマを歌唱するなど、増々精力的に活動をしている。
国内に留まらず、海外にも積極的に活動の場を広げ、フランス、スペイン、ブラジル、パナマ、コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、中国に招待され、各国で好評を博す。
力強く、それでいて暖かい歌声で聴く人を魅了し続けている。

撮影・真下 裕(Studio WINDS)

<リリース情報>
串田アキラ デビュー50周年記念ベストアルバム Delight
2019年11月6日(水)発売 
COZX-1584~5(CD2枚+DVD1枚) ¥4,000+税

デビュー50周年記念アルバムを発売する串田アキラに、歌手としての50年間を歌に対する想いを聞く!!〈前編〉


【CD収録曲】
<DISC 1>
01.からっぽの青春 (1969)
02.Rollin Into The Night (『マッドマックス』1979)
03.太陽戦隊サンバルカン (『太陽戦隊サンバルカン』1981)
04.夢の翼を (『太陽戦隊サンバルカン』1981)
05.宇宙刑事ギャバン (『宇宙刑事ギャバン』1982)
06.星空のメッセージ (『宇宙刑事ギャバン』1982)
07.疾風ザブングル (『戦闘メカ ザブングル』1982)
08.乾いた大地 (『戦闘メカ ザブングル』1982)
09.ドラゴン・ロード (『10号誕生!仮面ライダー全員集合!!』1982)
10.キン肉マン Go Fight! (『キン肉マン』1983)
11.肉・2×9・Rockn Roll (『キン肉マン』1983)
12.炎のキン肉マン (『キン肉マン』1984)
13.宇宙刑事シャリバン (『宇宙刑事シャリバン』1983)
14.強さは愛だ (『宇宙刑事シャリバン』1983)
15.宇宙刑事シャイダー (『宇宙刑事シャイダー』1984)
16.ハロー!シャイダー (『宇宙刑事シャイダー』1984)
17.銀河のターザン (『巨獣特捜ジャスピオン』1985)
18.Grey?Carnival -伊吹園次郎の侵略- (『炎の転校生』1985)
19.ジライヤ (『世界忍者戦ジライヤ』1988)
20.空からひびく声 (『世界忍者戦ジライヤ』1988)
21.SHI・NO・BI88 (『世界忍者戦ジライヤ』1988)
■CMソング
22.Orange County (『小川珈琲』1980)
23.富士サファリパークCMソング (『富士サファリパーク』1980)

<DISC 2>
01.機動刑事ジバン (『機動刑事ジバン』1989)
02.吠えろ!ジバン (『機動刑事ジバン』1989)
03.希望の勇者ゲッP-エックス (PlayStation用ゲーム『70年代風ロボットアニメ ゲッP-エックス』1999)
04.We are the ONE ~僕らはひとつ~ (『爆竜戦隊アバレンジャー』2003)
05.神魂合体ゴーダンナー!! (『神魂合体ゴーダンナー!!』2003)
06.その名はガイキング ザ・グレート (『ガイキングLEGEND OF DAIKU-MARYU』2006)
07.ガツガツ!! (『トリコ』2011)
08.豪食マイウェイ!! (『トリコ』2013)
09.KA・MI・TSU・KE (『獣電戦隊キョウリュウジャーVSゴーバスターズ 恐竜大決戦! さらば永遠の友よ』2013)
10.シュッシュッポッポ!トッキュウジャー (『烈車戦隊トッキュウジャー』2014)
11.宇宙刑事 NEXT GENERATION (『宇宙刑事 NEXT GENERATION』2014)
12.オレカ オマエカ 限界バトル (『オレカバトル』2014)
13.スペース・スクワッド (『スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー』2017)
14.究極の聖戦(バトル) (『ドラゴンボール超』2017)
15.ギャングラーズパラダイス (『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』2018)
16.The Laughing Salesman (CR『笑ゥせぇるすまん』2018)
17.銀河道中ヒザクリガー (『RobiHachi』2019)
18.あっぱれ!ジモトがイチバン!! (『ジモトがジャパン』2019)
■CMソング
19.サトームセン CMソング (「サトームセン」2005)
20.僕らのうまさはここにある (「サッポロ 麦とホップ」2019)

【DVD収録予定内容】
■デビュー40周年記念ライブ「夢中者(むちゅうもん)」(2009年10月17日 渋谷 O-EAST)より
01.チェイス!ギャバン
02.太陽戦隊サンバルカン
03.ジライヤ
04.機動刑事ジバン
05.しあわせの限界
06.A Change Is Gonna Come
07.強さは愛だ
08.宇宙刑事シャイダー
■キッズステーション「アニぱら音楽館」より
09.神魂合体ゴーダンナー!!  (2004年12月19日放送)
10.宇宙刑事ギャバン (2007年10月3日放送)
11.疾風ザブングル (2009年9月20日放送)
12.We are the ONE ~僕らはひとつ~ (2009年9月20日放送)
13.富士サファリパークCMソング (2009年9月20日放送)
14.空からひびく声 (2009年9月20日放送)
■ミュージックビデオ
15.ガツガツ!!
16.豪食マイウェイ!!
17.NEVER GIVE UP!~CHANCEは何度でも何度でも~(北電子 ジャグラーソング)

デビュー50周年記念アルバムを発売する串田アキラに、歌手としての50年間を歌に対する想いを聞く!!〈前編〉
                    
<配信情報>
サッポロ 麦とホップCMソング「僕らのうまさはここにある」
10月16日(金)より、主要配信サイトにてダウンロード配信スタート!

<ライブ情報>
串田アキラ デビュー50周年記念公演 ~Delight 2019~
日程:2019年11月17日(日) 開場16:30 開演17:00
会場:よみうり大手町ホール

★串田アキラ 公式サイト http://www.snowkey.net/Qu-cy/

■日本コロムビア 串田アキラ情報ページ https://columbia.jp/artist-info/qu-cy/