森久保祥太郎さんが、12月15日に配信シングル『瞬花繍灯(しゅんかしゅうとう)』をリリース。20年にわたるアーティスト活動の歩みを振り返るきっかけとなった新曲のメイキング、そしてひとつの区切りを感じたという20周年記念ライブについて熱く語ってもらいました。


──まず『瞬花繍灯』をリリースすることになった経緯からお聞かせください。

森久保 今年アーティスト活動20周年を迎えて、10月にその集大成となる記念ライブをさせていただいたんですが、そこで僕から皆さんに感謝の気持ちを届けたいと思って作ったのがこの曲になります。

──タイトルも印象的ですが、この曲にどんな思いを込められたのでしょうか。

森久保 自分のソロライブツアーに「心・裸・晩・唱(しんらばんしょう)」というタイトルを付けているんですが、今回の20周年記念ライブでは特別にアーティスト活動20年を包括するようなワードにしたいな、と考えました。言葉を選んでいく中で、時の流れを表現する「春夏秋冬」の当て字で「20年間の歴史の中で瞬いた小さな花火が、繍い合わされるようにまとまって今を灯してくれているよ」という意味を持つ「瞬花繍灯」という言葉が思い浮かびました。

ちょうどアニバーサリーライブを形にしていく作業の中で、いろいろと過去を振り返って感じたものが自分の中ですごく大きくなっていたこともあり、「その思いをこのまま曲にしよう!」と考えました。
振り返ればいろいろあった20年でしたし、今後もきっとそうだと思うんです。でも、それすらも楽しめる心持ちでみんなと過ごしていけたらいいなと思いながら作った曲でもあるので、そんな僕の気持ちを皆さんも感じてくれたら嬉しいかな。

──作詞・作曲を森久保さん自らが手掛けていますが、制作は順調だったんでしょうか?

森久保 最初はさらなる20年先の未来へ向けたメッセージを皆さんに届ける歌詞にしようとしたんですが、これまでの歩みを思い返しつつ「今、自分が思うことはなんだろう?」という気持ちに切り替えた瞬間、一気に歌詞を書き上げることができました。
作曲面では「シンプルな構成を大事にしつつ、壮大な感じの曲にしたい」というイメージが頭にありました。今はまだ叶わないですけれど、ゆくゆくはライブでたくさんのオーディエンスと一緒になって掛け合いが成立するような内容になればいいな、と思いながら作っていきました。

あとアレンジに関しては、今までで一番リクエストが多かった曲かもしれないです。
今回はかなり明確なビジョンがあったので、「こういうことを伝えたい」「こういう流れで世界観を構築していきたい」と、編曲の井上日徳さんにはいつも以上に具体的な要望を伝えさせてもらいました。20年一緒にやっている井上さんならバッチリ味付けを整えてくれると思っていましたので、そこは信頼してお任せした感じですね。

──今回の配信シングルは、音響面でのチャレンジもあるそうですね。

森久保 先日のライブ配信チケットを購入していただいた方は、無料ダウンロードで聴いていただける形になっていたんです。やはり同じものだと面白くなかろうということで、配信シングルのバージョンは360度の立体音響ミックス=空間オーディオに挑戦させてもらいました。僕にとっても初めての試みでして、ダウンロード版を持っている人でも全然違う感覚で聴いて楽しんでもらえるんじゃないかと思っています。

さらに今回は、これまで一緒にライブを作ってきた仲間である『おれパラ』メンバーの鈴村健一君と小野大輔君、寺島拓篤君に「ちょっと協力して」ってお願いして、曲のコール&レスポンス部分にあたるオーディエンスコーラスのパートに入ってもらいました。僕を含めた4人が、聴いている人の周りを囲んでいるようなサウンドとしてお届けしますので、ぜひ楽しみにしていてください。

──カップリング曲である『Freak Out』についてもお聞かせください。

森久保 一言で表現するなら「とてもはっちゃけた曲」(笑)。タイトルは「高揚させる」という意味なんですが、自分の作業スタジオに「Freak Out Studio」っていう名前を付けているくらい、僕がすごく大事にしている言葉なんです。
ライブでみんなと盛り上がって初めて完成する曲だと思っているので、有観客ライブの時にドカーンと騒げたらいいですね。
こちらも空間オーディオのミックスを楽しめますよ。

──せっかくの機会ですので、20周年配信ライブについての感想もお聞かせください。

森久保 去年の配信ライブは目の前にお客さんがいる意識で臨みましたが、今年は配信で皆さんに僕らのアジト=ライブ会場を ”覗き見” していただくスタイルを目指したんです。観客のフロア部分やバーカウンターもステージにしたり、会場の窓のカーテンを閉めずに夜景を見せたりと、ライブハウス全部を使った映像に特化した内容になりました。「無理かな」と思いつつ、やりたいことをいろいろリクエストしたらその願いを全部叶えていただいて(笑)、本当に贅沢なライブでした。

──スタートから驚きの映像が連発でしたものね。


森久保 はい、特に1曲目の『The Answer』は事前に撮ったストーリー性のある映像からシームレスに僕が会場入りして歌い始めるライブ映像に繋ぐという演出を狙いました。後で観直してみたら、自分でも映像とライブの繋ぎ目がわからなくて「ライブも事前収録だと思われたらどうしよう?」と心配になるくらいのハマりぶりでしたね。
僕自身もいろんな演出のアイデアを出させてもらいまして、カメラの画角やタイミング、ライブ中のメンバーの動きなど、こちらで全部決めさせてもらいました。すごく大変でしたが、映画を作っているような楽しみも感じました。

──リハーサル中には、まさかのアクシデントがあったらしいですね。

森久保 そうなんです、本番前のリハでぎっくり腰のような痛みが身体に走って動けなくなっちゃったんですよ。
どうやら疲労で肋骨が固まったみたいで、歌おうとして横隔膜を広げると激痛が起こる危機的状況に陥ってしまったんです。
近くの病院に駆け込むと、その病院にゴッドハンドがいたので助かりました(笑)。マッサージと置き針をしてもらったら、奇跡のように復活を果たすことができたんです。

──そんな様々な苦労と挑戦を重ねたライブから、新たに得たものは何かありましたか。

森久保 ライブをやらせてもらったおかげで、漠然としていた自分のこれからのモチベーションが固まった感じがしています。今までは怒りや憤りといった「衝動」をモチベーションにして、一聴して「森久保だ!」と分かるサウンドを貫くことを大切にしていました。でも、今回のライブでそれが一段落したように感じたんですね。特に『瞬花繍灯』という曲を作ったことで、これまでのサウンドにこだわらず今の自然体の自分に出せるものを見つけてみようかなと思える、自分の中でひとつの区切りとなるライブになりました。
来年のライブはface to faceで皆さんに会いたいと思っていますので、その際にはぜひ会場に足を運んでほしいですね。

──では最後に、12月18日・19日に開催予定の配信ライブ『Original Entertainment Paradise -おれパラ- 2021~TERMINAL~』への意気込みをお願いします。

森久保 今回は両国以外の会場で開催される初の『おれパラ』になります。初日は増田俊樹君と梶原岳人君をゲストに迎えますが、俊樹は久しぶり、それも初のソロということでアーティスト性全開のステージに期待大です。梶原君も初参加ですが、彼のポテンシャルは十分にわかっているのでそちらも楽しみです。
去年の夏と年末に2回配信ライブをやったことで蓄積された、たくさんのノウハウやアイデアを散りばめた内容を目指していますが、特に2日目は両国じゃない場所でやるだけの意味がある……というか、「何じゃこれ?」というものになるんじゃないかな(笑)。去年とは一味違う『おれパラ』をお見せ出来ると思いますので、ぜひ楽しみにしていてください!

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