『西遊記』を大胆にアレンジした、峰倉かずや氏によるファンタジー・ロードムービー・コミック『最遊記』。過去4度にわたるTVアニメ化をはじめ様々なメディアミックスを展開し、長年愛されている作品だが、その最新作アニメ『最遊記RELOAD -ZEROIN-』が、いよいよクライマックスを迎えようとしている。


人間と妖怪が平和に暮らしていた桃源郷で、突如妖怪が人間を襲うようになってしまう。その異変の元凶を止めるため、西を目指して旅を続ける玄奘三蔵・孫悟空・沙悟浄・猪八戒の4人。今作では、三蔵一行の絆や悟空の本来の強さ、そして胸を締め付けるストーリーが詰まったヘイゼル編(Even a worm編)が、今回初めて原作通りの展開でアニメ化された。

最終回目前ということで、20年以上にわたって三蔵一行を演じ続ける関俊彦さん(玄奘三蔵)・保志総一朗さん(孫悟空)・平田広明さん(沙悟浄)・石田彰さん(猪八戒)のインタビューを掲載(全2回/後編)。長きに渡る旅を共にする仲間たちのトークは、さらに楽しく赤裸々な内容に……。

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――今回のヘイゼル編での、ご自身が演じるキャラクターの見どころを教えてください。


保志 全体的な見どころになってしまうのですが、原作ファンは間違いなく、あらゆる面で楽しめるだろうなと思います。要所要所に原作のエッセンスを盛り込んでいるので、印象的な決めカットはアニメーションとしてもしっかり見せ場になっています。

それから、漫画では吹き出しのセリフのほかに、手書きで書かれたちょっとしたセリフがあったりしますが、それもちゃんと活かされています。ああいうセリフは、本来は漫画の表現だからこそ活きてくるもの。そのままアニメでもやろうとすると、テンポが悪くなってしまったり、流れが止まってしまったりすることがあるんです。でもそれを、うまい具合に本線の会話に盛り込めているなと、出来上がった映像を見て思いました。
絵も、表情でしっかり演技してくれていて。改めて作画のクオリティの高さに驚きました。

石田 八戒は、ポジション的にも色々と察する人。だからこそ、ヘイゼルとガトの在り様を、直接言葉にされずとも察していて。物語の前半は、様子見しているんですよね。その関係性が、話が進むことでどう変化していくのかが見どころだと思います。


ベースに彼なりの常識的な価値観があるからこそ、ヘイゼル達の非常識さが引き立って見えるのですが、でもその非常識さの根っこにあるものが何なのかという部分が、今回の話の骨格になってくるんです。そう考えると、八戒とヘイゼルの対比が、三蔵と烏哭の対比にも見えてきて。そこまで広がって見えてきたことが、深いなと思いました。

平田 見どころって観る人によって変わると思うんですよね。だから僕はいつも「お客様次第です」とお答えしてるんです。それでもあえて言うとしたら、このヘイゼル編は、実に ”峰倉色” の濃いエピソードだということですかね。

もう20年以上『最遊記』をやっていますから、どのキャラクターに関しても、「なぜこんなセリフを? こんな行動を?」と、僕らが疑問に思うようなことも一切なく、淀みなく流れるように安心して見ることができました。

なので、いつもの悟浄らしい粋なセリフを、相変わらずかっこいいなと思ってもらえたらそれだけで十分。何なら、エコーでも足しておいてください。それに、今回は悟空と妖怪の女の子の一連のエピソードが、「ンだよこいつっ!!」って言いたくなるくらい良い話ですしね。

――そのエピソードでは、悟浄のとあるセリフがすごくかっこいいんですよね。

平田 そこでも悟浄は奥ゆかしいんです。
あのエピソードは、あくまでも悟空と女の子の話ですからね。悟浄はあくまでも、サラッと。

保志 そのサラッと具合が、悟浄は良いんですよね。

平田 そういえば今回、悟浄が渋~くかっこよ~く決めたのに、キレイどころのお姉ちゃんたちが全員八戒のところに行くシーンがあったじゃない? あれだけは納得いってないんだけども。どういうこと?

一同 (笑)

保志 確かに皆、八戒のところに行ってた(笑)!

平田 あのシーンでのクールなセリフは、ヘイゼルに対して言っているというよりも、むしろギャラリーのお姉ちゃん達に向けてカッコつけてるはずなんです。なのに、誰も悟浄に寄ってこなかったんですよ。
これは一度審議しないとですね。ちょっと誰か! 峰倉先生に電話して!

保志 あはは!

石田 まあ八戒は、「しょうがないじゃないですか。こうなるのは当たり前でしょう?」って思ってると思います。

平田 なんだよっ!

――(笑)。関さんも見どころをお願いします。

関 なんと言っても、ヘイゼル編を原作通りにやれることに尽きるかなと。ヘイゼル対三蔵一行、烏哭対三蔵一行というバトルで、圧倒的な力を前に、三蔵たちがどう立ち向かうかが見せ場になってきます。三蔵が3人と別行動していたからこそ、あの4人が揃った時に思うところもあるんじゃないかと思います。

(C)峰倉かずや・一迅社/最遊記RE PROJECT

――改めて、今回のヘイゼル編は、『最遊記』という作品の中でどんなエピソードだったでしょうか。

石田 この物語の主軸は、三蔵一行が牛魔王の蘇生を阻止して、妖怪の暴走を止めること。でも今回のヘイゼル編は、実はカミサマ編の時から、裏側で操っている烏哭の存在がとても大きいんです。あの人がいなければ、もっと簡単に事は運んでいたでしょうし、三蔵一行の絆が試されるようなこともなかったはず。そういう意味では、烏哭/你健一の存在が、非常に大きなスパイスになっているエピソードだと思います。

――人間や妖怪たちの命の価値観が問われるヘイゼル編。それにちなんで、ご自身が価値観を問われた出来事はありますか?

関 間違いなく、このコロナ禍しかないでしょうね。朗読劇や舞台の劇場にお客さんがいて、同じ空気の中で芝居を見ていただくことができないという状況は、我々役者にとっては価値観がひっくり返るような出来事です。
スタジオでの収録も、以前とはすっかり様変わりしてしまいましたから。いかにそれまでが幸せなことだったのかを、改めて再認識させられました。

保志 現状、朗読劇もすっかり配信メインになってしまっていますからね。本来の楽しみ方とは違うものになってしまったので、複雑です。

――そんな状況だからこそ、今『最遊記』のアニメが観られることが、ファンの方にとっては大きな希望だと思います。

保志 そうですね。アニメーターさん達もこの状況は大変だと思いますが、じっくり時間をかけて、良いものを作ってくださっているので。

――ヘイゼル編の悟空のモノローグに「俺は……何と戦うんだ…?」という戸惑いのセリフがありますが、皆さんご自身は、最近何と戦っていますか?

石田 老いですね(即答)。

関 賛成!

保志 それですね。

平田 日々壮絶な戦いを繰り広げています。

保志 そういえば昨日、白髪を見つけちゃって、「これはヤバい!」って思いました。

関 抜く派? 染める派?

保志 う~ん……。今後増えてきたら染めます。

平田 でもさ、たった1本でそれだけ驚いてるってことは、まだほとんどないんだね。

関 やっぱり49歳は若いね。僕はもう定期的に染めてる。

保志 石田さんは?

石田 あるある。

平田 それにしても不思議なのがさ、昨日までなかったのに、突然1本まるごと白いものが現れたりするじゃない。いつの間に白くなったんだよって。

関 人間はね……恐怖を感じると白髪になるらしいよ。
『最遊記ZEROIN』三蔵一行を演じるキャスト4人が戦う強敵とは?

保志 怖っ!

平田 いまの関さんの口調が恐怖だよ! ドキっとしたもん。明日朝起きたら真っ白になってるかもしれない。

石田 あはは!

平田 ちょっと待って。このままじゃ老いエピソードだけになっちゃう。誰か若々しい話はないの?

保志 あ、僕は今、健康的な食生活にハマってますよ。

平田 いや、それ方向性はほとんど同じだろ!

一同 (笑)

保志 食べてはいけないもの、食べるべきものなど、いろいろと気を付けています。

平田 今まで色々なものを食べてきたんでしょ。落ちてる物とかさ。

保志 そうそう……って! 落ちてる物は食べてないです(笑)!!

――楽しいトークをありがとうございます! 最後に、ファンの皆さんへメッセージをお願いします。

平田 それはもちろん『最遊記RELOAD -ZEROIN-』を楽しんで観てください。ですよ。

石田 『最遊記RELOAD -ZEROIN-』として、新たにEven a wormのストーリーを作っていただけたこと、本当にありがたい気持ちでいっぱいです。期待して待っていてくださるファンの皆さんのためにも、見事なゴールを迎えられるよう、僕らも収録に挑みたいと思います。ぜひ最後まで見届けてください。

保志 僕も、2022年に新しい『最遊記』シリーズのアニメをお届けできることを嬉しく思います。アニメ『最遊記』の決定版であり、集大成となっていると思いますので、毎話存分に楽しみ尽くしていただけると有難いです。『最遊記RELOAD -ZEROIN-』をよろしくお願いします!

関 三蔵たちは、これからも西へ向かって歩き続けます。ぜひ僕らの旅を応援してください。

(C)峰倉かずや・一迅社/最遊記RE PROJECT