TVアニメ『狼と香辛料MERCHANTMEETSTHEWISEWOLF』EDテーマなどを収録したシングル『アンダンテ』と7thアルバム『Iris』を引っ提げ、大阪、広島を巡って来たClariSのツアー『ClariS SPRING TOUR 2024 ~Tinctura~』が、6月1日と2日に、東京・TOKYO DOME CITY HALLでファイナルを迎えた。東京公演は、生バンドをバックにダンサーを交えてステージが展開され、大阪、広島とは一部異なるセットリストで観客を楽しませた。
6月1日に開催された東京Day1の夜公演の模様をレポートする。

「東京1日目、楽しみにしていました。たくさん歌って踊って楽しみましょう」と、ClariS本人たちによるアナウンスで始まったライブ。ClariSバンドによる熱い演奏に乗せて登場した2人は、まるでティンカーベルのような衣装だ。1曲目「reunion」は、冒頭の〈君とまた物語が始まるの〉という歌詞をはじめ、まさしくライブのオープニングにぴったり。明るく爽やかな歌声を響かせながら、最後に2人で大きなハートを作り、その中からちょこんと顔を覗かせるキュートな姿でファンを出迎えた。


3曲目には新曲のひとつ「アンダンテ」を披露。女性ダンサー4人と一列に並んで踊り、MVで披露したダンスを再現したかたち。観客もリズムに合わせて〈パンパン〉と手を打ち、会場は早くもひとつになった。

アルバムタイトル『Iris』はラテン語で「虹」、ツアータイトルの『Tinctura』は「染める」という意味とのこと。「いろんな色で染められるツアーにしたいと思い、タイトルを付けました。ペンライトの色を変えながら楽しんでください」とクララ。


このライブでは、X(旧Twitter)を通じて事前にペンライトの色が指定された曲があり、4曲目の「Love is Mystery」では、会場が濃いピンクで埋め尽くされた。アルバム『Iris』収録曲で、ジャズ調のサウンドや〈シュビドゥバ〉と歌う軽やかなコーラスも印象的な楽曲。スタンドマイクを使った演出も新鮮で、新しいClariSの魅力を実感させる曲のひとつになった。

シングル『アンダンテ』の収録曲「擬態」からは、赤いペンライトの光に包まれながら、ちょっと怪しくてかわいい、ClariSならではのシアトリカルで歌謡チックな世界観の連続で魅せた。小悪魔チックに相手を翻弄するような「擬態」では、人形っぽいダンスやイナバウアーのように後ろにのけぞるパフォーマンスを展開。続く「Freaky Candy」は、ジャズとゴシックが融合したサウンドで、大人びた吐息やラップ的なボーカルなど、ClariSの新たな側面を覗かせた。
さらに「Masquerade」ではスパニッシュなサウンドに乗せて、スカートを翻しながら情熱的なラテンダンスで観客を魅了した。

前半戦の見どころのひとつになった春メドレーは、一転パステルカラーのペンライトが会場に揺れた。お立ち台で手を振りながら、みんなと楽しんだ「ミントガム」。ミディアムバラード「graduation」は、クララがメインでしっとり歌い上げる。歌謡曲調の「Bye-Bye Butterfly」は、Wink風のシンセサウンドも印象的。そして、和テイストの「サクラ・インカーネーション」では、掛け合うようなボーカルを聴かせ、胸を締め付けるような切なさや温かさで会場を包み込んだ。


前半戦の最後には、それぞれのソロステージを展開したのも見どころになった。クララはふわっと優雅に踊りながら、情感たっぷりに「カラフル」歌い上げる。カレンはどこか懐かしさのある歌謡曲調のナンバー「アネモネ」を、パッションあふれる力強いダンスと共に披露。ファンにはお馴染みの2曲ではあるが、それぞれの持ち味を活かし、新たな魅力で染め上げていた。

後半戦は、ClariSの代名詞でアルバム『Iris』の1曲目も飾った「ALIVE」でスタートし、以降『Iris』収録曲が次々と披露されていった。「ALIVE」は、キレが増したパフォーマンスとエモーショナルさを増したボーカルで、何百回と歌ってきても新鮮さは失われることなく、むしろ魅力は倍増していると感じさせる。
ブルー系のお揃いの衣装に身を包んだ2人の渾身のパフォーマンスに、会場はブルーのペンライトで応えた。

【関連画像】ClariSの最高なLIVE写真を見る!(写真7枚)

衣装について「ブルーっぽい曲がたくさんあるので、合うんじゃないかと思って。大人っぽい私たちを楽しんでほしい」とクララ。今までClariSにありそうで無かった雰囲気の「トワイライト」は、会場が水色に染まる。疾走感にあふれつつクールさも感じさせ、クララの言う通り少し大人びた歌声でも魅せた。

イエローに染まった「未来航路」。
最初はステージの2F部分でスタンドマイクを使ってパフォーマンスし、サビではセンターステージに駆け下りて、タオルを回して観客と楽しむ。「この曲、腕にくるよね(笑)」とカレン。最後に2人が回していたタオルを客席に投げるサービスでもファンを喜ばせた。

MCでは、交互に水分補給や衣装替えをしながら自由にトーク。カレンは「今日の髪型はクララと全く同じにしたの気づいてくれた?」「ハイカロリーなセットリストで、昼の部で1度燃え尽きたけど、差し入れのフルーツで全回復しました!」など。クララからは、「大阪でカレンがハケる方向を間違えてスタッフを焦らせた」ことなどエピソードを披露すると、衣装替えを終えたカレンが「全部聞こえてたよ。暴露大会にする気なの(笑)?」と言いながら戻ってきて、会場には笑いがこぼれた。

ライトが当たる角度で色が変わるオーロラ調の衣装を着てのパフォーマンスで、見どころになったのは、白のペンライトが広がったバラードの「アサガオ」だ。ステージのセンターでスポットを浴びるクララがフィーチャーされ、カレンはステージの2Fで後ろ向きに立ちながらクララに合わせてハモったり、時には舞うように踊るなど、楽曲の世界観を表現。「動きでも歌詞の意味を伝えられるように」と、大阪・広島公演の後にカレンが考えた、東京のみの演出とのこと。「心を込めて歌いました。届いてくれたらうれしい」とクララ。例え叶わなくとも、大切な相手との未来を望まずにはいられない。そんな狂おしいいほどの思いが、2人のパフォーマンスからあふれていた。

本編のクライマックスは、「ふぉりら」と「コネクト」で畳みかけた。アルバム『Iris』にも収録された新しめの曲ではあるが、すでにライブに欠かせないナンバーに定着した「ふぉりら」は、「みんなの”好き”を込めて叫んで!」と呼びかけ、サビでマイクを客席に向けると〈やっぱり好き〉の歌詞に続いて〈俺も~!〉と、ファンの合いの手が広がった。「コネクト」ではツアー名などがプリントされたテープが発射され、歓声と共に会場には〈ハイ!ハイ!〉とかけ声がかかる。4人のダンサーと共に息の合ったパフォーマンスを繰り広げ、最後に「せーの!」とのかけ声で、みんなとジャンプした。

アンコールでは黒Tシャツに黒スカート、ハーフツインの髪型で登場した2人。手を繫ぐなどして「Prism」を歌い、ライブでお馴染みのアツいロックチューン「border」では、ラスサビで手を振り上げ、クラップし、タオルを回し、そして大合唱とフルコースを楽しんだ。またセンターステージから移動する際に、カレンがクララの背中をツンツンして、「行くよ!」と合図を送った場面も。互いのことを気にかけながら、ライブを楽しむ2人の姿に胸がアツくなった。

ツアーを振り返り「早かったね」とカレン。クララも「あっと言う間で充実した気持ち。みんなの笑顔をもらって、ホカホカした」とコメントし、急に「言いたいことがあったんだ!」話し始める。『ふぉりら』をパフォーマンスしている時のことで、「カレンがこっちを見ながら口パクで〈俺も!〉って歌っていて、一緒に〈俺も!〉って歌おうって意味だったと思うけど、歌えなかったから、ごめん」と、曲の中でそういう意思疎通があったことを明かす。心残りを作ってはいけないと、カレンの提案で、「ふぉりら」の〈俺も!〉のところを急遽もう一度やることに。今度はクララも一緒に叫んでリベンジを果たし、すっきりした気持ちでエンディングへ。

「会うたびにみんなの好きが大きくなって、各会場を違う色で染めることができて、より華やかで豪華な東京公演になったと思う」(カレン)。「最後にここでしか作れない色=”虹”を作りましょう」(クララ)と言って、会場をレインボーに色分けした2人。そうして最後に歌った「second story」。きれいな虹色に染まった会場で、歌いながら手を繫いで回ったり、ハグしたり、最後まで名残惜しそうにライブの余韻を楽しむ2人の姿があった。

2人の歌とダンス、そこに生バンドの演奏やダンサー、ファンが掲げるペンライトの灯りが加わって構成される、ClariSのライブの5エレメンツ。そのバランスとクオリティが、最高に仕上がっていた今回のツアー。今また、2人のニューストーリーが始まったと、感じさせるライブステージになった。