山田尚子監督は、2011年に公開され興行収入19億円の大ヒットとなり、社会現象を巻き起こした『映画けいおん!』(2011年)、第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞のほか2017年アヌシー国際アニメーション映画祭長編コンペティション部門に入選、興行としても23億円の異例のヒットを記録した名作『映画 聲の形』(2016年)など、国内外を問わず高い評価を受ける。
そして、いよいよ劇場公開が間近となったのが、その待望の最新作となるオリジナル長編アニメーション映画『きみの色』だ。物語のテーマは山田監督が最も得意とする思春期の青春。少女たちそれぞれが向き合う自立、葛藤、恋の模様が、まるで絵画のような美しい映像で描かれる。
今作で脚本を務めるのは、スタジオジブリや京都アニメーションの数々の大ヒット作品を手掛け、山田尚子監督とは『けいおん!』シリーズ以降、幾度となくタッグを組む吉田玲子。また、音楽は『映画 聲の形』『リズと青い鳥』(2018年)、TVアニメ『平家物語』(2021年)と、これまた山田尚子監督作品ではもう常連とも言える牛尾憲輔が担当している。企画・プロデュースは、日本映画史に残る金字塔『君の名は。』(2016年)『天気の子』(2019年)『すずめの戸締まり』(2022年)など新海誠作品を手掛けたSTORY inc.が担当する。
先日フランスで行われた第49回アヌシー国際アニメーション映画祭では本作が上映され、鑑賞後の観客から喝采を浴びた。続く第26回上海国際映画祭では、日本映画としては5年ぶりとなる金爵賞アニメーション最優秀作品賞を受賞した。授賞式に出席した山田監督は、檀上でトロフィーを受け取り「アニメーションは素晴らしい力を持っていると思います。
今回発表された『きみの色』の場面カットは全部で7点。山田尚子監督ならではのカメラワークと色彩感覚が、登場人物の内面を繊細に描き出し、物語の感情を深く引き立てている。山田監督は「これから広がっていくもの、これから発散していくもの、”その瞬間” を切り取りたいという強い思いがあります。特に、ティーンの若者たちが ”その瞬間” に美しく眩しく映って、そこが自分の心に響くんだと思います」とコメントしており、各カットには学園の様子や自然の景色が映し出され、美しい世界観の中で過ごすトツ子たちの様子を垣間見ることができる。
画づくりにおいて美術チームは、「美術単体ではなく他のセクションに心を寄せながら、すべてのスタッフの合わせ技のような画面で、”一枚絵” を目指した」と語っており、山田監督の持つ ”繊細なバランス感覚” を制作チーム一丸となって形にしていったという。また、「キャラクターたちが安心して芝居ができる舞台のセットを作る感覚で、彼らの気持ちに寄り添うようにした」と明かしており、日常の一瞬一瞬を捉えた美しいカットに、トツ子たちがどんな物語を奏でていくのか期待が膨らむ。
昨日7月3日(水)には都内でジャパンプレミアが行われ、山田尚子監督をはじめメインキャストの3名、日暮トツ子役の鈴川紗由、作永きみ役の髙石あかり、影平ルイ役の木戸大聖に加え、トツ子のルームメイトである百道さく役のやす子、八鹿スミカ役の寿美菜子が揃って舞台挨拶に登壇して華を添えていた。
また、アニメージュプラスではその際に山田尚子監督と寿美菜子さんにインタビューを行っており、その模様は近日中に公開予定だ。こちらも楽しみにしていてほしい。
>>>『きみの色』の場面カット、メインビジュアルを見る(全8点)
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