10月17日、IT業界のビッグプレイヤーであるサイバーエージェントが、アニメレーベル「CAAnimation(シーエーアニメーション)」の設立を発表した。「CAAnimation」を軸にアニメ制作事業に本格参入するのだという。
サイバーエージェントが見据えるのは、新たなオリジナルIPの企画・制作だ。グループゲーム会社でのゲーム化展開や、同じくグループ会社の「AbemaTV」が運営するインターネットテレビ局「AbemaTV」との連動も視野に入れる。「アニメ=ゲーム=配信」がつながれば、アニメ業界でのインパクトも大きい。
では「CAAnimation」は何を目指し、どういったアニメを創るのか。サイバーエージェント「CAAnimation」のエグゼクティブプロデューサー・落合雅也氏とゼネラルプロデューサー・田中宏幸氏に、その狙いを伺った。
[取材・構成=数土直志]
■「CA-Cygamesアニメファンド」から「CAAnimation」 アニメへの挑戦
――今回サイバーエージェントが「CAAnimation」というアニメレーベルを立ち上げます。どういった流れで実現したのですか?
落合雅也(以下、落合)
4、5年前に、エイベックス・ピクチャーズとアニメのIP(知的財産)を作ってゲーム化につなげられないかと思ったことがあったんです。アニメを軸としたゲームに可能性があると感じたけれど、ただ僕らにはアニメを企画・制作するノウハウはない。そこでエイベックス・ピクチャーズにいた田中(宏幸)に声をかけました。田中はたまたま僕が昔いた日本コロムビアの新卒同期で。その後にエイベックスに行って、気がついたらアニメを制作しているらしいと。そして『ユーリ!!! on ICE』などの制作経験を経て、業界では有名なプロデューサーになっていました。
――その時のプランは?
落合
その時はなかなかうまくいかなくて。どう組織をつくるかが難しく、それで1回は諦めたんです。
――その流れが変わったのは?
落合
その後、「AbemaTV」の収益を多角化するための全社会議でアニメ作品に出資するためのファンドを提案し、それが昨年発表した「CA-Cygamesアニメファンド」なのですが、Cygamesとサイバーエージェントの共同ファンドを立ち上げました。この時にいまなら満を持してアニメを制作することができるかなと思って。再び、田中を誘いました。
田中宏幸(以下、田中)
ここまでが前段ですね(笑)。
落合
ファンドから製作委員会に出資することで、アニメの配信権やゲーム化権を得ようとしたのですが新しいアニメ企画の情報は、僕らだけだと入りづらい。でも田中はアニメに精通しているので、そこに強みがあります。
例えばCA-Cygamesアニメファンドが現在出資しているなかでは、現在放送中の『火ノ丸相撲』。ジャンプ作品のアニメ企画に参加するのは難しいと思うのですが、田中がいることで出資できた案件です。サイバーエージェントがゲーム事業と「AbemaTV」というメディアを保有している珍しいスーパーハイブリッド型のネット企業であるところに、田中というアニメ業界に詳しい人間が入ることで、アニメのゲーム化や配信権利を獲得し始めたのが最初の動きです。
――田中さんはエイベックスで実績を残しているにもかかわらず、なぜ畑違いのサイバーエージェントでアニメをやられようと?
田中
エイベックスには2000年から18年くらいいました。
お客さんの楽しみ方が変化している中で製作委員会方式でやっているメリットも、デメリットもあるのも感じました。とはいえ、お客さんの変化ほどドラスティックに変わるのは難しい。
アニメはキャラクタービジネスなのですが、その時に何を武器に向き合っていくかです。サイバーエージェントには、Cygamesを含め10社以上のゲーム会社があり、様々なジャンルのヒットゲームを生み出しています。そして、大きいメディアとして「AbemaTV」がある。いままではビデオ販売を中心にキャラクタービジネスを考えていたけれど、いまはゲームや配信を武器にに企画を考えてみたいと考えました。そのうえでサイバーエージェントグループとは普段から付き合いがあり、20年前からの知り合いである落合がいたのも理由です。
――「CA-Cygamesアニメファンド」が出資する作品の基準はありますか? ゲームと配信が軸とも考えられますが。
落合
CA-Cygamesアニメファンドではサイバーエージェント本体の常務取締役の山内(隆裕)、僕らふたり、Cygamesのアニメ事業部事業部長の竹中(信広)、「AbemaTV」のアニメ局局長の椛嶋も含めて 10名弱ぐらいで検討しておりそのなかでルールはあります。
たとえば、ゲーム化の可能性のある企画であること。最終的に資金回収をするのがファンドですから。特にCAAnimationオリジナル企画については、ゲーム化を前提に進めるので賛同を得られますね。
■「CAAnimation」が目指すオリジナル企画
――オリジナル企画もあるのですか?
落合
やはり「オリジナル作りたいよね……?」ってなるじゃないですか。ただファンドの役割は投資なので、企画機能はないんです。それで作ったのが今回のCAAnimationなんです。アニメの企画をし、ファンドの出資先のひとつになります。田中はアニメの企画プロデューサーでもあり、ファンドの投資決定権を持つメンバーでもあります。僕も両方を兼務しています。珍しいパターンですね。
――オリジナル作品を作る時に、いままでの製作委員会のシステムを選ぶのか、むしろサイバーエージェントが主となるのか、どうですか?
田中
他社幹事の製作委員会に参加する時には、「AbemaTV」での配信権であったり、ゲーム権みたいなかたちで委員会貢献をしていきます。CAAnimationでやるオリジナル企画に関しては自身が主体となって、既存の枠組みに囚われず新しいかたちにしたいと思っています。
落合
いまはだいぶアニメビジネスのかたちも変わっていますから。
サイバーエージェントグループは事業が多岐にわたるので、ゲームも作れるし、アニメも作れる。こうすることでクリエイティブの意思決定もばらつかないし、スピード感も出ます。
――グループ力があれば盛り上げることも。
落合
シナジーも生めます。
――ゲームとアニメの双方で盛り上げるオリジナル作品はどういった方向性になりますか?
田中
いまは企画開発の段階ですから、実際にゲームやアニメが世に出るのは2年くらいかかると思います。いま有力なクリエイターさんたちと共同でアニメやゲームの企画開発をしているのが5本くらい。
原作開発をしながら僕の方ではアニメのスタジオをセッティングして、一方で落合がゲームのパブリッシャーやデベロッパーのセッティングをしてという感じですね。
――「CAAnimation」はプロデュース・企画組織ということでしょうか?
落合
そうですね。
――制作会社は他社のアニメスタジオでも。
落合
むしろそれが中心ですね。長年スタジオとのコミュニケーションを持っているのもが田中の強みですから。
■アニメとゲームがつながる強みとは?
――サイバーエージェントのグループ全体ですと、すでにCygamesのなかにアニメ事業部とアニメーション制作のCygames picturesがあります。この関係は?
落合
Cygamesはグループの中でも独立性が高く、『グランブルーファンタジー』、『シャドウバース』を中心に大きくなりました。「長期的に愛されるコンテンツにするためにプロモーションも含めてアニメが必要だね」と竹中を事業部長にして設立したのがCygamesのアニメ事業部です。ですからサイバーエージェントグループ内のアニメの取り組みで言うとCygamesのアニメ事業部がひとつ、今回立ち上げたサイバーエージェントのCAAnimationがひとつ。
田中
ただゲームとアニメは文化も違うんです。ビジネス構造も違うし、一般的に上手くいかないことも多いんです。
これまではゲームとの“架け橋する人”がいないことが多かったですが、僕はゲーム会社の社内にいるので、原案の段階からゲーム側とアニメ側の両方とコミュニケーションがとれます。ゲームのプロとアニメのプロで原作開発をして、クリエイティブ的にもビジネス的にもアライアンスを組みます。ゲーム開発からサービス開始まで2年くらい、同じくらいの期間でアニメも世に送り出したいと思います。旬を逃さずゲームとTVアニメを一緒に出せる。さらに「AbemaTV」というメディアとも協力できるので、そこを理想に頑張っていきたいと思っています。
落合
企画開発ではあともうひとつあって、グループ内でアニメ化されていないゲームのアニメを作ることで、長く愛されるゲームのファン作りもできるのではと思っています。
田中
アニメだけだと映像ソフト販売を中心にで事業をどう組み立てていくかになります。けれどCAAnimationは、アニメを拡散力がすごく強いプロモーションツールと考えてゲーム事業と結びつける。そして「AbemaTV」とも連動することでファンの方とコミュニケーションが取れればと思います。アプリゲーム自体はレッドオーシャン中のレッドオーシャンになってきて、いかに差別化していくかが大きなポイントになっている。
そのなかでアニメを自社でハンドリングできるのは非常の大きな武器です。
■「AbemaTV」の活性化と連携も大事に考えています。
――これまで出口がパッケージだったのが、ゲームと配信に替わり、作品自体の変化はないんでしょうか?
田中
キャラクタービジネスをする、という本質での差はないと思います。企画をやる中でのやり方に多少の違いはあると思うのですが、あくまでお客さんとの接し方が違うのだと思います。
――サイバーエージェントさんはもちろんゲームもありますが、「AbemaTV」の存在も大きいと思います。ここの連動は考えているんですか?
田中
CA-Cygamesのメンバーには「AbemaTV」のアニメ担当も参加しています。「AbemaTV」の活性化と、その連携はすごく大事にしています。CA-Cygamesが配信の優先権を獲得したのは、この10月で言えば『火ノ丸相撲』と『ゾンビランドサガ』、『ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。』の3本です。全て「AbemaTV」が地上波と同時、あるいは地上波30分前に配信したりです。最速で「AbemaTV」で見られる状態を作る取り組みをしていますね。
――日本でオリジナルのアニメ製作をして、フルにサポートできる配信会社は、現状は外資系のNetflixとAmazonしかないんです。それだけに「AbemaTV」に期待する向きも多く、CAAnimationとの連携は気になります。
落合
それは考えています。「AbemaTV」のアニメを僕らの手でとも考えています。ただCA-Cygamesアニメファンドは、サイバーエージェントとCygamesが出資するファンドですので、出資先のひとつとしての位置づけですね。外部の企業や、Cygamesアニメ事業部、今回できたCAAnimationも含めた中でのひとつです。ただ僕らはチームサイバーエージェントですから、アニメで「AbemaTV」を盛り上げたい気持ちは十二分にあります。
田中
海外の配信プラットフォームは、ビジネスの規模や投資予算が大きいので製作委員会と違うビジネス方式になっているようです。
一方で、日本のアニメ配信においては競合サービスも沢山あります。初期投資の回収では魅力的ですが、将来的なキャラクタービジネスの広がりを考えたときに、拡散性のある「AbemaTV」を各コンテンツホルダー様に多く選択していただけているのはありがたいですね。「AbemaTV」でやることでのキャラクタービジネスの広がりは必ず出ます。メディアからさらに大きく広がっていきたいと考えています。
スマートフォン配信が言われていますけど、これからオリンピックが来て、スマートTVのようなインターネットで繋ぐテレビ環境に変わっていったりすると、「AbemaTV」の利便性も格段に上がると思います。そういうところを見据えて「AbemaTV」とはどんどんやっていきたいと思います。
――最後になりますが、どのくらいの規模感を目指されていますか?
落合
田中のいた前職規模には(笑)。
田中
(笑)。CA-Cygamesアニメファンドが30億円の投資契約を社内で作っているので、売上でそのくらいは目指したいと思いますね。
落合
ゲームもアニメもキャラクタービジネスですから、キャラクタービジネス会社として名を馳せるレーベルになれると嬉しいなと思っています。
サイバーエージェントが見据えるのは、新たなオリジナルIPの企画・制作だ。グループゲーム会社でのゲーム化展開や、同じくグループ会社の「AbemaTV」が運営するインターネットテレビ局「AbemaTV」との連動も視野に入れる。「アニメ=ゲーム=配信」がつながれば、アニメ業界でのインパクトも大きい。
では「CAAnimation」は何を目指し、どういったアニメを創るのか。サイバーエージェント「CAAnimation」のエグゼクティブプロデューサー・落合雅也氏とゼネラルプロデューサー・田中宏幸氏に、その狙いを伺った。
[取材・構成=数土直志]
■「CA-Cygamesアニメファンド」から「CAAnimation」 アニメへの挑戦
――今回サイバーエージェントが「CAAnimation」というアニメレーベルを立ち上げます。どういった流れで実現したのですか?
落合雅也(以下、落合)
4、5年前に、エイベックス・ピクチャーズとアニメのIP(知的財産)を作ってゲーム化につなげられないかと思ったことがあったんです。アニメを軸としたゲームに可能性があると感じたけれど、ただ僕らにはアニメを企画・制作するノウハウはない。そこでエイベックス・ピクチャーズにいた田中(宏幸)に声をかけました。田中はたまたま僕が昔いた日本コロムビアの新卒同期で。その後にエイベックスに行って、気がついたらアニメを制作しているらしいと。そして『ユーリ!!! on ICE』などの制作経験を経て、業界では有名なプロデューサーになっていました。
――その時のプランは?
落合
その時はなかなかうまくいかなくて。どう組織をつくるかが難しく、それで1回は諦めたんです。
――その流れが変わったのは?
落合
その後、「AbemaTV」の収益を多角化するための全社会議でアニメ作品に出資するためのファンドを提案し、それが昨年発表した「CA-Cygamesアニメファンド」なのですが、Cygamesとサイバーエージェントの共同ファンドを立ち上げました。この時にいまなら満を持してアニメを制作することができるかなと思って。再び、田中を誘いました。
田中宏幸(以下、田中)
ここまでが前段ですね(笑)。
落合
ファンドから製作委員会に出資することで、アニメの配信権やゲーム化権を得ようとしたのですが新しいアニメ企画の情報は、僕らだけだと入りづらい。でも田中はアニメに精通しているので、そこに強みがあります。
例えばCA-Cygamesアニメファンドが現在出資しているなかでは、現在放送中の『火ノ丸相撲』。ジャンプ作品のアニメ企画に参加するのは難しいと思うのですが、田中がいることで出資できた案件です。サイバーエージェントがゲーム事業と「AbemaTV」というメディアを保有している珍しいスーパーハイブリッド型のネット企業であるところに、田中というアニメ業界に詳しい人間が入ることで、アニメのゲーム化や配信権利を獲得し始めたのが最初の動きです。
――田中さんはエイベックスで実績を残しているにもかかわらず、なぜ畑違いのサイバーエージェントでアニメをやられようと?
田中
エイベックスには2000年から18年くらいいました。
アニメの仕事は最初がマーケティング、制作は7年くらいですね。最初に制作プロデューサーとして関わった作品は『プリティリズム(2011年)』でした。長年アニメに携わり、『ユーリ!!!』みたいな大ヒット作にも関われて、いっぽうで最近では新しい形でのアニメビジネスへのアプローチも必要だと感じることもありました。
お客さんの楽しみ方が変化している中で製作委員会方式でやっているメリットも、デメリットもあるのも感じました。とはいえ、お客さんの変化ほどドラスティックに変わるのは難しい。
アニメはキャラクタービジネスなのですが、その時に何を武器に向き合っていくかです。サイバーエージェントには、Cygamesを含め10社以上のゲーム会社があり、様々なジャンルのヒットゲームを生み出しています。そして、大きいメディアとして「AbemaTV」がある。いままではビデオ販売を中心にキャラクタービジネスを考えていたけれど、いまはゲームや配信を武器にに企画を考えてみたいと考えました。そのうえでサイバーエージェントグループとは普段から付き合いがあり、20年前からの知り合いである落合がいたのも理由です。
――「CA-Cygamesアニメファンド」が出資する作品の基準はありますか? ゲームと配信が軸とも考えられますが。
落合
CA-Cygamesアニメファンドではサイバーエージェント本体の常務取締役の山内(隆裕)、僕らふたり、Cygamesのアニメ事業部事業部長の竹中(信広)、「AbemaTV」のアニメ局局長の椛嶋も含めて 10名弱ぐらいで検討しておりそのなかでルールはあります。
たとえば、ゲーム化の可能性のある企画であること。最終的に資金回収をするのがファンドですから。特にCAAnimationオリジナル企画については、ゲーム化を前提に進めるので賛同を得られますね。
■「CAAnimation」が目指すオリジナル企画
――オリジナル企画もあるのですか?
落合
やはり「オリジナル作りたいよね……?」ってなるじゃないですか。ただファンドの役割は投資なので、企画機能はないんです。それで作ったのが今回のCAAnimationなんです。アニメの企画をし、ファンドの出資先のひとつになります。田中はアニメの企画プロデューサーでもあり、ファンドの投資決定権を持つメンバーでもあります。僕も両方を兼務しています。珍しいパターンですね。
――オリジナル作品を作る時に、いままでの製作委員会のシステムを選ぶのか、むしろサイバーエージェントが主となるのか、どうですか?
田中
他社幹事の製作委員会に参加する時には、「AbemaTV」での配信権であったり、ゲーム権みたいなかたちで委員会貢献をしていきます。CAAnimationでやるオリジナル企画に関しては自身が主体となって、既存の枠組みに囚われず新しいかたちにしたいと思っています。
落合
いまはだいぶアニメビジネスのかたちも変わっていますから。
サイバーエージェントグループは事業が多岐にわたるので、ゲームも作れるし、アニメも作れる。こうすることでクリエイティブの意思決定もばらつかないし、スピード感も出ます。
――グループ力があれば盛り上げることも。
落合
シナジーも生めます。
――ゲームとアニメの双方で盛り上げるオリジナル作品はどういった方向性になりますか?
田中
いまは企画開発の段階ですから、実際にゲームやアニメが世に出るのは2年くらいかかると思います。いま有力なクリエイターさんたちと共同でアニメやゲームの企画開発をしているのが5本くらい。
原作開発をしながら僕の方ではアニメのスタジオをセッティングして、一方で落合がゲームのパブリッシャーやデベロッパーのセッティングをしてという感じですね。
――「CAAnimation」はプロデュース・企画組織ということでしょうか?
落合
そうですね。
――制作会社は他社のアニメスタジオでも。
落合
むしろそれが中心ですね。長年スタジオとのコミュニケーションを持っているのもが田中の強みですから。
■アニメとゲームがつながる強みとは?
――サイバーエージェントのグループ全体ですと、すでにCygamesのなかにアニメ事業部とアニメーション制作のCygames picturesがあります。この関係は?
落合
Cygamesはグループの中でも独立性が高く、『グランブルーファンタジー』、『シャドウバース』を中心に大きくなりました。「長期的に愛されるコンテンツにするためにプロモーションも含めてアニメが必要だね」と竹中を事業部長にして設立したのがCygamesのアニメ事業部です。ですからサイバーエージェントグループ内のアニメの取り組みで言うとCygamesのアニメ事業部がひとつ、今回立ち上げたサイバーエージェントのCAAnimationがひとつ。
田中
ただゲームとアニメは文化も違うんです。ビジネス構造も違うし、一般的に上手くいかないことも多いんです。
これまではゲームとの“架け橋する人”がいないことが多かったですが、僕はゲーム会社の社内にいるので、原案の段階からゲーム側とアニメ側の両方とコミュニケーションがとれます。ゲームのプロとアニメのプロで原作開発をして、クリエイティブ的にもビジネス的にもアライアンスを組みます。ゲーム開発からサービス開始まで2年くらい、同じくらいの期間でアニメも世に送り出したいと思います。旬を逃さずゲームとTVアニメを一緒に出せる。さらに「AbemaTV」というメディアとも協力できるので、そこを理想に頑張っていきたいと思っています。
落合
企画開発ではあともうひとつあって、グループ内でアニメ化されていないゲームのアニメを作ることで、長く愛されるゲームのファン作りもできるのではと思っています。
サイバーエージェントグループのゲームをアニメ化するCAAnimationのビジネスモデルは、もしかしたらコアになるぐらいチャンスはありますよね。一方でオリジナルを当てたいなとも思います。ですから、「既存作品への出資」、「オリジナル企画」、「ゲームのアニメ化」の3つがコアになると思っています。
田中
アニメだけだと映像ソフト販売を中心にで事業をどう組み立てていくかになります。けれどCAAnimationは、アニメを拡散力がすごく強いプロモーションツールと考えてゲーム事業と結びつける。そして「AbemaTV」とも連動することでファンの方とコミュニケーションが取れればと思います。アプリゲーム自体はレッドオーシャン中のレッドオーシャンになってきて、いかに差別化していくかが大きなポイントになっている。
そのなかでアニメを自社でハンドリングできるのは非常の大きな武器です。
■「AbemaTV」の活性化と連携も大事に考えています。
――これまで出口がパッケージだったのが、ゲームと配信に替わり、作品自体の変化はないんでしょうか?
田中
キャラクタービジネスをする、という本質での差はないと思います。企画をやる中でのやり方に多少の違いはあると思うのですが、あくまでお客さんとの接し方が違うのだと思います。
――サイバーエージェントさんはもちろんゲームもありますが、「AbemaTV」の存在も大きいと思います。ここの連動は考えているんですか?
田中
CA-Cygamesのメンバーには「AbemaTV」のアニメ担当も参加しています。「AbemaTV」の活性化と、その連携はすごく大事にしています。CA-Cygamesが配信の優先権を獲得したのは、この10月で言えば『火ノ丸相撲』と『ゾンビランドサガ』、『ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。』の3本です。全て「AbemaTV」が地上波と同時、あるいは地上波30分前に配信したりです。最速で「AbemaTV」で見られる状態を作る取り組みをしていますね。
――日本でオリジナルのアニメ製作をして、フルにサポートできる配信会社は、現状は外資系のNetflixとAmazonしかないんです。それだけに「AbemaTV」に期待する向きも多く、CAAnimationとの連携は気になります。
落合
それは考えています。「AbemaTV」のアニメを僕らの手でとも考えています。ただCA-Cygamesアニメファンドは、サイバーエージェントとCygamesが出資するファンドですので、出資先のひとつとしての位置づけですね。外部の企業や、Cygamesアニメ事業部、今回できたCAAnimationも含めた中でのひとつです。ただ僕らはチームサイバーエージェントですから、アニメで「AbemaTV」を盛り上げたい気持ちは十二分にあります。
田中
海外の配信プラットフォームは、ビジネスの規模や投資予算が大きいので製作委員会と違うビジネス方式になっているようです。
一方で、日本のアニメ配信においては競合サービスも沢山あります。初期投資の回収では魅力的ですが、将来的なキャラクタービジネスの広がりを考えたときに、拡散性のある「AbemaTV」を各コンテンツホルダー様に多く選択していただけているのはありがたいですね。「AbemaTV」でやることでのキャラクタービジネスの広がりは必ず出ます。メディアからさらに大きく広がっていきたいと考えています。
スマートフォン配信が言われていますけど、これからオリンピックが来て、スマートTVのようなインターネットで繋ぐテレビ環境に変わっていったりすると、「AbemaTV」の利便性も格段に上がると思います。そういうところを見据えて「AbemaTV」とはどんどんやっていきたいと思います。
――最後になりますが、どのくらいの規模感を目指されていますか?
落合
田中のいた前職規模には(笑)。
田中
(笑)。CA-Cygamesアニメファンドが30億円の投資契約を社内で作っているので、売上でそのくらいは目指したいと思いますね。
落合
ゲームもアニメもキャラクタービジネスですから、キャラクタービジネス会社として名を馳せるレーベルになれると嬉しいなと思っています。
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