神木さんのもう1つの声優としての転機となったのは、2016年公開の映画『君の名は。』(新海誠監督作品)ではないでしょうか。
オーディションではなく、新海誠監督の指名で主人公・立花瀧役に選ばれた神木さん。その理由を、新海監督は「中性的な魅力や演技力の確かさを考えると、神木さん以外には行き着かなかったです」とインタビューで語ります。その要望通り、神木さんは「男女が入れ替わる」と設定に合わせ、男女二役を熱演。高い演技力を見せつけました。
そして、本作では神木さんの声優としての成長を“息遣い”から感じることができます。
キャラクター性だけでなく作品そのものを息遣いで表現し、視聴者をスクリーンに釘付けにさせる技術は、劇場で観ていて「なんて繊細なお芝居なんだろう」と感じたことを覚えています。
この年、『君の名は。』での演技が評価され、声優アワードの主演男優賞にも輝きました。
声優としての確かな功績を経て、今年、2度の公開延期を経て上映された『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で、なんと成長した碇シンジ役を演じました。事前告知のない出演だったので、ファンは驚き。なぜ緒方恵美さんがそのまま演じなかったのか? 現在たくさんの憶測が飛び交っていますが、真相は明らかにされていません。
しかし、これまでとは違う「新しい世界で大人になったシンジ」と考えると、大人びた顔つきに神木さんの中低音が合っていたと感じます。