魔法少女まどか☆マギカ』や『Re:ゼロから始める異世界生活』、『STEINS;GATE』などの深夜アニメの名作を題材にした研究書「アニメ・エクスペリエンスー深夜アニメ研究の方法」が発売中だ。上智大学文学部哲学科教授でアニメ論でも講座を持つ川口茂雄が、「なぜ、深夜アニメは総合芸術として優れているのか」を明らかにする一冊となる。


オペラや人形浄瑠璃と比べても遜色ない総合芸術であるアニメーション作品。なかでも、2006年以降の日本の深夜TVアニメは、世界に誇り得る名作が数多く生み出されてきた。本書「アニメ・エクスペリエンスー深夜アニメ研究の方法」は、それらの作品がなぜ優れているのかについて迫るものだ。印象論や文化論、社会反映論に逃げることなく、作品ごとの構図や編集方法、または各シナリオの文学的検討を通じて明らかにしていく、今までにない哲学的なアニメ研究を行っている。

本文では、2006年以降の深夜アニメについて“16:9の画面で、なにかを合計4時間ほど映す”ことが最小限の形式上の共通点とされた。そのうえで、場面写真も豊富に引用しつつ各作品の印象的なシーンや表現を細かに掘り下げ、その優れた点を分析している。

題材となっているのは、『宇宙よりも遠い場所』のほか『すべてがFになる』、『魔法少女まどか☆マギカ』、『Re:ゼロから始める異世界生活』、『PSYCHO-PASS』、『STEINS;GATE』といった深夜アニメの名作だ。さらに、巻末には著者のチョイスによる「深夜アニメ作品ガイド」も収められている。
これまで深夜アニメに親しんできた人はもちろん、これから深夜アニメに触れてみようとしている人にも、視聴の際に新たな視点をもたらしてくれるだろう。

『魔法少女まどか☆マギカ』や『Re:ゼロから始める異世界生活』、『STEINS;GATE』などの深夜アニメの名作を題材にした研究書「アニメ・エクスペリエンスー深夜アニメ研究の方法」は、定価2,750円で発売中だ。詳細は情報ページまで。

「アニメ・エクスペリエンス 深夜アニメ研究の方法」
川口 茂雄 著
刊行年月日:2024/08/23
ISBN:978-4-422-70178-3
定価:2,750円(税込)
判型:四六判 188mm × 128mm
造本:並製
頁数:336頁

目次
はじめに
序 16:9の画面と視聴者、そのあいだに起こる経験〈I〉
1 速度の芸術としてのアニメ――『宇宙よりも遠い場所』
2 退屈という速度の経験――『すべてがFになる』
3 カタストロフ表象の変遷、およびそれにともなうジェンダー表象の変遷?――『魔法少女まどか☆マギカ』〈II〉
4 断絶と連続、今敏の時代一九九七~二〇〇六――深夜アニメ時代の前史にて
5 マテリアルのイマジネイション――二〇一〇年代深夜アニメにおける肉と金属〈III〉
6 働く者たちの倦怠、また日が昇る――『Re:ゼロから始める異世界生活』
7 銃口は誰に向けられる――『PSYCHO-PASS』
8 もう一人の自分を観測する/に観測されること――『STEINS;GATE』
あとがき
深夜アニメ作品ガイド
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