競馬エージェント(2)騎手をあてがいながら予想

 トレセン関係者が語る。

「日本では、所属する厩舎が管理する馬への騎乗を優先させなければならず、騎乗したい馬に乗れない不満もあった。でもエージェントに頼めば厩舎とのしがらみもなく、レースにだけ集中して馬に乗れる。つまり、優れた騎手が優れた馬に乗る、というアスリートなら当たり前のことが、ようやく彼によって示されたのです。それまでの競馬サークルにはまだ徒弟制度が残っていて、満足に稼いだ金をもらえない騎手もいるほどでした」

 岡部氏により近代化が図られたのはよかったが、デメリットもあったようだ。先のエージェントが言う。

「岡部さんは1つのレースに複数の騎乗依頼があった場合、騎乗できない馬への依頼を(松沢氏を通して)みずからを慕う蛯名正義や柴田善臣、田中勝春らの“子分”に振り分けた。そうすれば、その馬を他の騎手に取られる心配をせずに済むからです。そこからいわゆる『岡部ライン』というものが出来上がり、レースにも反映するようになってしまった。岡部さんが逃げたりすると、子分騎手は絶対に競ったりしないのです。結果、『スローペース症候群』が蔓延したことも‥‥」

 こうした談合めいたレースは熱心な一部ファンの不評を買い、JRAにも「スリルのないレースの一因となっているエージェントの存在を認めているのか」との問い合わせがしばしばあったという。むろんJRAはそのたびに、「認めてはいない」と言ってきたが、時代の流れにはいつまでも逆らえなかった。


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