伊集院静が教える男の人生流儀(2)政治家は辛酸を経ていない

──いくつもの印象的だった事柄もあると思うのですが‥‥。

伊集院 知人の娘さんは、タンクローリーに乗っていたところに、震災にあわれました。その直後に津波が押し寄せてきて、視界に波が見えたところで車を降りてしまい、そのまま波にのまれてしまった。でも、もしそこで降りないでいたら、タンクローリーの中身は空だったから浮いて助かったと言うんです。そんな生死の分かれ目が、今回の震災では無数にあった。

 あと印象的だった話が、津波の被害を受けた地区におばあちゃんの介護をしているお母さんと娘さんがいたんだ。それで震災の時に津波が来るとわかって「逃げなさい!」って言われたんだけど、おばあちゃんを運ぶ余裕や力はない。お母さんは、「私は主人のお母さんを見放せません」と首を横に振ったと言うんです。ところが、そうすると娘さんも「私もここにいる」と言って、そのまま残って亡くなってしまったんだよ。でも、生き残った父親は「娘はあれでよかったのかもしれない」と言うんです。

──それはどうして?

伊集院 おばあちゃんと母親を残して自分だけが逃げて、それで生きたとして彼女の生涯がキチンと全うできるかというと、何とも言えない。ずっとおばあちゃんとお母さんのことが引っ掛かり続けるだろう。「だからあれでよかったと思う」と父親は言うんです。その心境は私にはわからないけど、被災地を回って、いろんな話を聞いていくとそういうことは本当にたくさんあるんです。そこには人間のテーマがある。


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