井川氏は辞める気はない。
「子供が2歳と幼いし、辞めたって受け皿になる会社を見つけるのが大変じゃないですか」(井川氏)
あくまで組合活動をやりながら60歳まで勤めるつもりだという。
IBMには、この他にも信じられない不当労働行為がある。労組によると、本社勤務のDさんは介護が必要な父親と同居している。
今年3月には父親の具合が悪かったため、有給休暇を5.5日取った。すると、上司がD氏の家庭の事情を知りながら、毎月の有給を2日以内という制限を加えてきたのだ。その目標が達成できなかった場合は減給、降格、解雇もありうるという紙を渡された。
「D氏の携帯には父親の容態が悪化した時、救急隊員、病院、ケアマネジャーから連絡が入る。ところが、就業時間中にそれに対応したD氏に上司は『仕事中に私用電話をした』という発言を繰り返したんです。さすがにDさんは労基署に上司の違法行為を申告したところ、1週間という異例の早さで関係者を労基署に呼び出し、指導票を交付した」(労組関係者)
それにしても学生に人気の大手企業はなぜ、ブラックになってしまったのか。
「“張本人”は去年盗撮で捕まった大歳卓麻元社長ですよ。東大工学部卒業のエリートで99年、51歳の若さで社長に就任した。リストラを進め、経常利益を回復させる反面、女性が社会で働くことを熱心に応援してきた人でしたが‥‥」(経済記者)
本誌は「ロックアウト解雇」について日本IBM広報部に取材を申し込んだが、「係争中なのでお答えできない」という返事だった。