「チン談マン談」特別対談「笑福亭鶴光×林家たい平」(3)欲しい名前はここんペイ志ん朝

「チン談マン談」特別対談「笑福亭鶴光×林家たい平」(3)欲しい名前はここんペイ志ん朝
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鶴光 もう1人、味のある噺家が(五代目古今亭)志ん生師匠。捕まえたネズミを「大きいだろ」「いや、小せえよ」と言い合いしていると、当のネズミが「チュウ」。こんな噺、誰もウケへん。でも、あの人やとウケる。それが味なんやね。

たい平 志ん生師匠の息子さんの(三代目古今亭)志ん朝師匠にも忘れられない言葉があって。二つ目になった直後、新宿末廣亭の深夜寄席の呼び込みをしていたら、昼席終わって飲んでいた志ん朝師匠が近づいて来て、「たい平、中途半端にだけは売れるんじゃないよ」って。「自分だけが食えればいいという狭い了見ではいけない。落語界全体が潤うようなスーパースターを目指せ」とハッパをかけてくださったんです。

鶴光 ウチの師匠の松鶴は志ん朝師匠をかわいがっていて、大阪に来た時、よく飲みに連れ歩いてた。ある時、忠臣蔵に絡めた落語「四段目」(上方では「蔵丁稚」)の稽古を頼みにきたことがあって、ワシらには半分裸で「やってみい、こらッ!」言うてたのに、松鶴師匠、その日は紋付着て、「誰も上げたらあかんぞ」ちゅう声も震えてる(笑)。志ん朝師匠、「芝居の師匠は三木のり平、落語の師匠は松鶴」て言うてはった。

たい平 関西で志ん朝師匠が独演会やると、上方の噺家さんのほぼ全員が来ているんじゃないかと思うぐらいに、袖に集まって。志ん朝師匠の芸を見逃すまいと見てる姿が、今でも忘れられないですね。

鶴光 一方、(七代目立川)談志師匠は、大阪に来て、「トリなら道頓堀角座出たる」と言うて。当時のトリは「♪毎度皆様おなじみの~」で人気の浪曲漫才・宮川左近ショーや。左近師匠、トリの直前にすごい芸をして大盛り上がり。談志師匠で幕が上がった時、客の半分は帰ってもうた。ほなら談志師匠、「オレの芸のわからないヤツは、今すぐ帰れ」。で、そのまた半分が帰ってしもて。そんな中、延々と意地の人情噺や。


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