
テリー それがどうしてデビューするんですか。
保科 金沢で年に一回、(作曲家の)三木たかし先生のファンの集いがありまして、私もテレサ・テンさんが好きだったので、お顔を拝見したいなと思って参加したんです。
テリー あぁ。「つぐない」とか「時の流れに身をまかせ」とか、テレサ・テンの有名な曲はみんな三木さんの作曲だから。
保科 そうですね。それで、その会でちょっと三木先生に歌を聴いていただいた時に、すごく的確なアドバイスをいただいたんです。テクニック的なことではなく、心に響くような言葉だったんですけど。それで、「もっと三木先生のところで歌を勉強したいな」と思って、東京へ行くことにしたんです。
テリー それが27歳の時?かなり大きな決断ですよね。
保科 でも、最初は1年ぐらい勉強したら金沢に帰るつもりで、別にプロになりたいと思っていたわけじゃないんです。それで3年間、三木先生のカバン持ちと運転手をしながら「とにかく感性を磨きなさい」ということで、レコーディングの現場だとか、いろんな場所に連れて行っていただいて。
テリー まぁ、いわゆる下積みというか修業期間ですよね。
保科 そうですね。それで2年半ぐらいたった頃に、三木先生が「僕が曲を作るから、レコード会社に持っていきましょう。それでダメだったら金沢に帰りなさい」と。
テリー 才能を認められたってことですよね。
保科 いえいえ。そんなふうにデビューして28年、崖っぷちを歩きながら、なんとかやってきた感じです。