半沢直樹「根室差別で市民から怒りの声」(1)親友を裏切ってまで行きたくない街なのか

 このドラマのキーワードとなったのが「出向」だ。銀行員にとっては、一度行ったら二度と戻れぬ「片道切符」、出向とは、まさに「左遷」のことである。そんな左遷先の中でも、劇中では最低の赴任地のように描かれた都市があった。その市民からは怒りの声が大噴出していたのだ。

半沢直樹って根室を馬鹿にしてるでしょ〉

〈根室の方って差別されてる?〉

 9月下旬、ネットには冒頭のような書き込みがあふれた。

 恐らく国民の大半は「根室?」と思ったのではないか。ドラマの中で根室が登場したのは、ほんの一瞬だったから無理もない。

 それは、第9話の終盤のことだ──。

 半沢の同期であり親友でもある近藤直弼(滝藤賢一=36=)は、東京中央銀行秘書課から呼び出しを受ける。指定された料亭で待っていると、そこに現れたのは半沢の最大の敵、大和田常務と岸川部長だった。大和田は、近藤が持っている自身の不正の証拠となる報告書を取り上げようと、こう口火を切る。

「キミはまもなく出向すると聞いているが‥‥」

 岸川が合いの手を入れ、こう続けるのだ。

「確か、根室だったね」

 ドラマの中で「根室」という名前が出たのは、この時だけである。しかし、このあとの大和田のセリフが根室市民の怒りを買うのに十分すぎた。

「それは、ずいぶんと遠~いね~。ご家族もさぞや慣れない土地に行くのもタイヘンだろう」

 近藤の頭に浮かんだのは、親友の半沢ではなかった。けなげに引っ越し準備をする妻であり、進学塾に通いたがっていた息子のことだった。そして、近藤は大和田との取り引きに応じ、報告書を表に出さない代わりに銀行本店へ戻る道を選ぶのだった──。


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