「旬が短い選手っているじゃないですか。高校時代にいちばんよかったとか」
こう切り出すとアニキは球界OBの実名をあげた。
「元巨人の元木大介みたいな。彼は今もうお笑い芸人みたいなことをやるしか仕事がないんですよね。アイツの自慢はですね、『僕はプロに入って自分の部屋で一回もバットを振ったことがない』。こんな野球選手もいるんですよ。だから元木って1年ぐらいしかレギュラーになってないんですね、名前ばっかりで」
返す刀で超大物OBをも“公開処刑”にさらしてしまうのだ。
「今年、中日のキャンプに行ったんですね。そこに杉下茂という、フォークボールを日本で最初に投げた人がいた。話しているともう、あれこそ老害ですね。年取るとどんどん頑固になっていく人と、どんどん柔軟になっていく人とに分かれます。どんどん頑固になってカタブツになっていくクソジジイが杉下茂でしたよ」
名球会の先輩であり、御年88の大投手を勇気あるコキ下ろし口撃。が、何となく共感できるような、スッキリ感も漂うような。
「あとはね、(現役時代、阪神キャンプに臨時コーチとして来ていた)広岡達朗さんですか。僕、20分説教されましてね。僕が肩を痛めてたんですね、キャンプで」
そう話すと、アニキは広岡氏とのやり取りを再現してくれたのだが、これが実に振るっている。
「金本君、スナップスローをやってみなさい」
外野手はスナップスローを使わないうえ、肩をかばってのスローイングをするしかなかった。