テリー伊藤対談「甲斐よしひろ」(3)ビートルズよりストーンズ派

テリー そもそも、甲斐さんは誰の影響を受けてロックをやりだしたんですか。

甲斐 小学校に上がる前から、家の中にレコードが置いてあって、楽器も置いてある、譜面もちらかっている、そんな環境だったんです。

テリー お父さんがフラットマンドリンの演奏者だったんですよね。

甲斐 そう。自分で作ったエレクトリックマイクを仕掛けてアンプで鳴らすような、変な人だったんですよ。自分の事業とは別に、趣味でも音楽をやっていて。博多は日本のミュージックシーンとしては非常に重要な場所で、うちの親父もそういうシーンの中にはいたみたいなんですけど。

テリー アーティストで言うと、誰の音楽が身近だったんですか?

甲斐 ハリー・ベラフォンテやパット・ブーン、プレスリーはもう聴いていましたね。中でもハリー・ベラフォンテが好きでした。小学校3年生の時にビートルズとストーンズ、キンクスというリバプールサウンドが出てきて、あっという間にハマりました。そこから自分でもレコードを買うようになって。その頃、ストーンズ派かビートルズ派かってあったじゃないですか。

テリー ありましたね! どっちだったんですか。

甲斐 僕、ストーンズ派なんですけど。

テリー それ、格好いいですよ。

甲斐 ビートルズもほとんどの曲を歌えますが、どっちが好きかと言ったらストーンズ。

テリー どうしてストーンズのほうがよかったんですか?

甲斐 当時の直感なんですけど、ストーンズのほうが育ちがいい感じがしたんです。あとで調べると、やっぱりブライアン・ジョーンズ以外は全員、中産階級の出身なんですよね。ビートルズは労働者階級の出身だけど、ジョージ・マーティンというマネジャーが、襟なしのスーツにネクタイ姿をバンドのユニホームとして決めていた。それが当時の僕には何となく嫌だったんでしょうね。ストーンズの、ちょっと崩している感じのほうがブルースマンっぽくて、逆に好きだったんだと思います。

テリー そうか。そこが俺と甲斐さんの違いだなぁ。俺はビートルズのほうが品がいいと思っていたんですよ。「青山学院大あたりの、ミッション系の女の子にモテるには、ストーンズよりもビートルズだろう!」みたいな。でも、実際は違ったんだ。

甲斐 違うんですよ。しかもミックって、ロンドン経済大学に入ってるんですよね。体育教師の息子で、教育もきちんと受けてきている。ストーンズはそこがおもしろいんです。

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