ところで、A氏が複数の店舗で働いた経験があるというのは、何度かバイト地域を替えたこともそうだが、「ヘルプ」という名目で勤務先とは別の店舗に助っ人として行くことが頻繁にあったからだ。ヘルプとは、従業員の手が足りなくなった際に他店舗に助けを求めるシステムだという。要請してきた店舗のメンバーで新年会や忘年会などを開催していて元のスタッフが全員出払っているようなケースもあったというが、A氏は業務を黙々とこなし、さまざまな現場をのぞいてきたそうだ。結果的に10店舗近くのマクドナルドの裏側を見てきたが、「どこの環境も似たようなものだった」として、さらなる懺悔告白を続けた。
「今は販売されていませんが、昔はコーンポタージュがありました。スープマシン上部の蓋を開け、そこから粉を入れてスープを作成する仕組みだったのですが、マシーンの内部には管が張り巡らされていて、そこがゴキブリの巣窟でした。管の絡まり方が複雑だったため清掃がうまくできず、それを理由にろくな清掃もしないで、そのまま放置していた。スープの注文が入るたび、『うわ~』と思いながら提供していましたね。なぜかフィレオフィッシュを注文するお客さんはコーンポタージュを一緒に頼む人が多くて、申し訳ない気持ちになっていた」
同様に、マックシェイクを作るシェイクマシーンの管理もずさんだった。乳製品というデリケートな性質上、シェイクマシーンは毎日、クローズスタッフが分解して洗浄し、オープンスタッフが組み立てて使用することが義務付けられていたというのだが‥‥。