ただ、いくら海外を股にかけてきた仕事人たちとはいえ、阪神を離れると、苦手な舞台も見えてくる。
「中山の芝は、ともに『トリッキー!』と言って自信がないようです。特にルメールはここ3年間で芝レースが〈1-1-0-15〉。05年の有馬記念でディープインパクトをハーツクライで破った印象が強烈でしたが、重賞はその1勝のみです」(スポーツ紙デスク)
名ジョッキーといえば、長距離戦での活躍もイメージされやすいが、デムーロ騎手の成績はもの足りない。
「13年以降に限ると、2400メートル以上は〈0-1-0-12〉とパッとしません。逆にルメール騎手は、09年以降の勝率が23.5%、連対率は44.1%、複勝率が50%。単複の回収率も100%を超えています。08年以前は平凡でしたが、ウオッカで09年のJCを勝ったあたりから堅実になりました」
そう話す伊吹氏は、さらに馬券戦術に役立つデータを発見した、と言う。
「1つ目は、レースの位置取りです。デムーロ騎手は前走の4角を13番手以下で通過した馬に騎乗したレースに限ると、通算複勝率が30.2%、複勝回収率が113%。この3着以内となったレースのうち、半数以上は4角を4番手以内で通過しています。ちなみに、09年以降はさらに優秀で、複勝率34.5%、複勝回収率143%でした」
つまり、前走後方待機の馬に騎乗し、次走では積極的にポジションを取って馬券圏内に持ってくるケースが目立つというわけだ。