
ワールドシリーズも開戦して、いよいよ佳境に入ったメジャーリーグ。前例のない60試合の短縮シーズンでは期待はずれに終わった日本人メジャーリーガーも少なくない。
10年ぶりのア・リーグ東地区優勝を決めたチームの中で、「路傍の石」扱いを受けているのはレイズの筒香嘉智(28)だ。7月25日(日本時間、以下同)のブルージェイズとのメジャー開幕戦で、あいさつ代わりの強烈なツーランを放ち鮮烈なデビューを飾ったが、シーズンを通してみれば打率1割9分7厘、本塁打8、打点24の体たらく。ポストシーズンでも快音が響くことなくベンチを温める日々を過ごしている。外信部記者が解説する。
「現段階ではレギュラーはおろか、韓国人野手の崔志萬(チェ・ジマン)に次ぐ左の代打2番手の評価です。日本時代から課題にしていた150キロを超える速球やメジャー特有の動くボールに、最後までアジャストできなかった。ド真ん中のボールにさえ空振りする始末で、打つ時のテイクバック幅を小さくするなど試行錯誤しましたが、数字には結びつきませんでした」
日本が誇る「ハマの大砲」でも、海を渡れば並みいる強打者に押されて中距離バッターに格落ちしてしまうことはやむなしとしても、レギュラーどころか代打としてのチャンスすら乏しい現実は想定外だっただろう。これには、異例の短縮シーズンも少なからず影響しているようだ。スポーツ紙デスクが同情の声を上げる。
「メジャーのボールに慣れる前にシーズンが終わってしまいました。筒香の立ち姿とダブってくる松井秀喜でも、ヤンキース1年目はニューヨークメディアから『ゴロキング』と揶揄されるほど、適応するのに時間がかかりました。例年よりも100試合少ないシーズンで、かつ、キャッシュ監督が重用するツープラトン起用では、左投手が登板するたびにベンチに下げられてしまう。左投手を苦にしない筒香としては、受け入れがたい采配だったことでしょう」