日産というと「NISSAN GT-R」や「リーフ」、最近では「NOTE e-POWER」や「AURA e-POWER」といった乗用車を思い浮かべる人が多いことでしょう。しかし、商用車も活躍しています。

今回はそんな「はたらくクルマ」をご紹介しましょう。


EVタクシーから移動販売車まで! 日産のはたらくクルマを一挙公開!

 日産は2019年から、社会や人々の生活をサポートする車両を集めて紹介する「#日産あんばさだー はたらくクルマ」という取材会を実施しています。日産の担当者によると3回目となる今回は「商用車でなくてもお仕事で日産車を活用してくださっている方も大勢います。クルマを社会のために活用されている方々の存在があるからこそ、我々が世にクルマを送り出せると思っています。この場では、仕事に対してクルマを活用されてらっしゃる方に集まっていただきました」ということなので、ご紹介しましょう。


東京消防庁 広報車(エクストレイル)

EVタクシーから移動販売車まで! 日産のはたらくクルマを一挙公開!
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 まずは東京消防庁のエクストレイルから。広報車って何をするの? というと、その名のとおりイベントなどでの広報活動がメイン。

ですが、大規模な火災や災害時などの際に、現場の映像や画像を記録するという事もされているのだとか。


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 ボディーカラーは赤ではなく「朱色」。外観で異なるのはサイレンが付いていることくらいで、室内も基本的には市販車と同じ。ただし専用の無線機だったり、タブレットなどが取り付けられています。このタブレットは消防活動に必要な消防水利(水栓)の場所をマップ上に表示するもので、消防車両に搭載されているGPSからどの車両がどこの消防水利を使っているかが把握できるようになっています。ちなみにパワートレインは市販車と同一とのことでした。


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厚木市立病院 災害派遣医療チーム「DMAT」
移動用車両(エクストレイル)

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 神奈川県にある厚木市立病院に所属する災害派遣医療チーム「DMAT」が、現場への移動に使用するエクストレイル。DMATとは大規模災害などが発生した際に、現場に急行して救命活動を行なうような機動性を持った医療チームのこと。今まで使っていた移動用車両が老朽化したので入れ替えたかったのですが、予算的に難しかったのでクラウドファンディングで資金調達をして導入した車両なのだとか。


 カラーリングは厚木市立病院がある地域に日産テクニカルセンターがあった縁から、在籍デザイナーが車両カラーリングを施したもの。子供たちからは「ウルトラ警備隊の車両みたい」ということで好評なのだそうです。ちなみに車内はフルノーマルでした。


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宝自動車交通 タクシー車両(リーフ)

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 タクシーというと、LPGを燃料するのはご存じのとおり。となると、このリーフも実はLPG? と思いきや、パワートレインは変更なしのモータードライブとのこと。

タクシーでバッテリー走行は大丈夫なの? と尋ねてみると、勤務時間である朝9時から夕方5時の間、充電する必要はないそうで、数回だけ遠距離を走った都合、日産ディーラーで充電したことがある程度なのだとか。ちなみに毎夜充電しているそうです。


 乗客の10人に1人くらいの割合で「これ電気自動車じゃないですか!」という話になるのだとか。驚いたのは運転手から「勤務時の疲れ具合が少ない」との声が聞かれたこと。BEVらしい静粛性や振動の少なさは、運転手にも好評のようでした。


 装備面はタクシーらしく料金メーターなどが装備され、さらにシートにはレースがかけられていました。

市販品とのことですが、リーフ用が用意されていることに驚きました。ちなみに中野あたりで走っているとのこと。機会があれば探してみるのも面白いのでしょう。


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ローソン 移動販売車(NV150クリッパー)

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 山間部や老人ホームなど、買い物に出かけることが難しい場所に、食品や日用品を届ける移動販売車。ローソンでは全国に54台を配備しているそうです。ここでご紹介するのは、横浜市磯子区の「ローソン栗木一丁目店」が実際に使用している移動販売車。「磯子って宅地化されている地域では?」と思ったのですが、店長に話を伺うと、老人ホームなどを周回しているそうです。

「毎週同じ時間にうかがうので、楽しみにされてされているのがうれしいですね。ですからやりがいがあります」とのこと。


ではなぜNV150なのでしょう? ローソンによると「冷蔵機能を架装するのですが、市販の機械で軽自動車用はNV150しかなかったんです」だそう。軽自動車にしたのは、誰でも運転できるサイズであるほか、山間部など道の狭い場所を考慮してとのこと。


 車内を見ると、無線機みたいな機械が。これは目的地に到着した時に音楽を鳴らすためのもの。

さらにマイクも付いていました。ちなみに決済は基本的に現金払いのみ。いわゆるQRコード決済には対応していませんでした。


 ローソンとしては今後、移動販売車を増やしていく予定だそうです。ですが基本的にはリアル店舗に付随する車両という位置づけで、積載する商品もリアル店舗の在庫を使っています。今後は移動販売のみの店舗が登場する可能性もあるとのこと。「セカンドライフに移動コンビニ経営、アリかもしれない」と、その場にいたフリーランスの記者たちは思ったのでした。


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実証実験車「移動会議室 Minimo」(エルグランド)

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 ここから先は、これから出てくるかもしれないクルマたちをご紹介しましょう。コロナ禍によりテレビ会議が一般化して久しいですが、「だったら移動中にも会議ができるのでは?」ということで、大日本印刷、ゼンリン、ソフトバンク、クワハラ、日産の5社で共同開発を進めているのがこの移動会議室です。エルグランドのVIPパワーシートパッケージをベースに、前席と後席の間に隔壁を設けて後席スペースを独立した部屋に。その壁には33インチの大型モニターを設置して、ネット接続すればテレビ会議ができるというわけです。


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 「テレビ会議でExcelやパワーポイントの画面が出ることがありますが、スマートフォンはもちろん、タブレット端末では見づらいものです。ですから、この大型のモニター画面は大変好評をいただいております」というのは、開発を担当された日産のエンジニア。「また、ドライバーと利用者の間に壁がありますので、コミュニケーションを円滑にするべく、ドアの近くにタブレットを配置しました。降車するといった定型文をタップをすると、ドライバーに音声で意志を伝えることができます。運転中に画面を見ることは危ないですからね」という工夫もされていました。


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助手席回転機構搭載車(NOTE)

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 NOTE e-POWERをもっと便利な乗り物に改良したのが、オーテックジャパンが架装した助手席回転シート車。これは足の悪い方に向けて作られた機構で、助手席を回転させることで、乗り降りのサポートをするというもの。さすがに真横までは回転できないのだが、それでも好評を博しているのだそう。実はコレ、すでに販売しており注文時のオプションとして選択できるそうです。


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リーフ車載バッテリーを再利用したゴルフカート

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 ゴルフ場内で使用するカートは、一般的に鉛蓄電池を使っているのだとか。ですがシンコーフレックスが開発した「LIBCART」は、リーフのバッテリーを再利用しているという点で目新しいものです。シンコーフレックスはリーフのバッテリーを再生する会社で、集められたバッテリーのうちカートに使えるものをセレクトして搭載。ちなみに、リーフは48個のセルを搭載しているのですが、カートはそのうち7個を使っているそうです。


 この再生バッテリー化により、鉛蓄電池に比べて120~200kgの軽量化を達成したばかりか、充電時間も8時間から3時間へと低減。軽量化によりタイヤ交換などのメンテナンス時間の短縮化ができたほか、充電時間短縮による車両の保有台数削減にも貢献できるのだとか。結果、ゴルフ場の運営コスト削減につながるそうです。再生バッテリーの意外な活用方法に驚きました。


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リーフ車載バッテリーを使ったEVトライク

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 同じく再生バッテリーを使った乗り物から、3輪構造のトライク型スポーツカーです。車体サイズは全長2500mm、全幅1300mm、全高1200mmで、重量は485kg。最高出力は35kW、最高速度80km/h、航続距離280kmが公称値。注目はリアまわりで、バイクのようなスイングアームにインホイールモーターという先進的な装備を採用したこと。


 単なる試作品で終わりではなく、なんと許可を取得しており2022年の発売を予定しているというから驚き。都市型スポーツカーとして注目に値するクルマといえそうです。


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日産のコンセプトカー2種

 最後に、東京オートサロン2021に出展予定だったコンセプトカーをご紹介しましょう。「なぜコンセプトカーを?」と思われそうですが、それは内容が「ワーケーション」にピッタリの内容だから。


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 まずはNV350キャラバン ES MOBILITY CONCEPT。トランスポータープロショップのオグショーとのコラボで作られたモデルです。注目は電子シェード! 窓ガラスにフィルム状のシートを貼るだけのカンタン施工で、ボタン一つで暗転にできるというもの。すでに新型セレナの用品でも登場しており、今後キャラバンにも展開する予定なのだとか。


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 NV350V CARAVAN OFFICE POD CONCEPTは、作業スペースを引き出す作りで、まさに自然の中で作業をするという風情。ちなみに、耐荷重は100kgをゆうに超えるということですが、ちょっと怖くて乗ることができなかったことを正直に告白します。


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 今と未来の「日産のはたらくクルマ」をご紹介しました。このようなクルマが、私達の生活を支えていたり、より豊かにするべく活躍しています。救急車など特別なクルマもありますが、乗用車をベースに、ちょっとカスタムした日産車に注目してみてはいかがでしょう。


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