最も有名なイギリス車といえば、やはり「MINI」。原点のクラシックから最新型まで、日本でも愛され続けているブランドです。

現代のMINIはBMWのブランドで、定番の3ドアハッチバックからSUVまで幅広くラインアップし、ファミリーを形成するまでに成長しました。


 さらに新世代モデルでは、多くのEVが登場しています。今回は、MINIファミリーのド定番モデルをEV化した「MINI COOPER SE」のレポートをお届けします。


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4世代目となるMINIは、ガソリン車とEVの2本立てに

4世代目MINI、ハッチバックはすべて「ミニクーパー」に統一

 約10年ぶりに全面刷新したMINIハッチバックモデルは、2024年3月に3ドアモデルが、同年6月に5ドアが発表されました。新型のトピックは大きく2つ。ひとつが、ハッチバックモデルを「MINI COOPER(ミニクーパー)」と呼ぶようになったこと。従来型までは、MINIのスポーティーグレードに「COOPER」というグレード名が与えられていました。なので、すべてを「ミニクーパー」と呼ぶことができませんでした。


 しかし、新型では安心して「ミニクーパー」と呼べます。これは「ミニクーパー」の名がすっかり定着していること、MINIファミリーの中では、スポーティーな存在であるハッチバックモデルの役割の明確化が狙いと思われます。


原点回帰と最先端の融合! EV版「MINI COOPER SE」はクラシックMINIへのオマージュを貫いた進化だ
MINI
ボンネットを開けて現れたのは、エンジンではなく、電動パワートレイン!

 もうひとつが、EVの追加です。かつて試験的にMINIハッチバックのEVが登場したことはありますが、カタログモデルでは初。新型MINI COOPERの3ドアでは、ガソリン車とEVの選択が可能です。

ただ、利便性の高さで人気の5ドアは、ガソリン車に限定されています。


 新型MINI COOPERでは、共通デザインを採用していますが、プラットフォームは別物。EVには、専用のものが使われているため、若干サイズやデザインが異なります。好きな人にはひと目でMINIと分かるデザインなのですが、クルマに詳しい人でないと見分けるのは難しいかもしれません。


原点回帰と最先端の融合! EV版「MINI COOPER SE」はクラシックMINIへのオマージュを貫いた進化だ
MINI
ボディーサイズは同等ですが、ホイールベースが長いことや各部のディテールが異なります

 ボディーサイズは、全長3860×全幅1755×全高1460。ホイールベースは2525mm。エンジン車と比較すると、全長が-15mm、全幅が+30mm、全高が+5mm、ホイールベースが+30mmとなり、全長以外は大きくなっていますが、日本でも扱いやすいサイズ感であることには変わりありません。


原点回帰と最先端の融合! EV版「MINI COOPER SE」はクラシックMINIへのオマージュを貫いた進化だ
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充電口は、右側が普通充電用で左側が急速充電用
原点回帰と最先端の融合! EV版「MINI COOPER SE」はクラシックMINIへのオマージュを貫いた進化だ
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クラシックをオマージュしつつ最先端!
未来感あふれるシンプルなコクピット

 インテリアはエンジン車とEVで共通のデザインとなっており、原点回帰のシンプルな構成に。これはダッシュボード中央の大型メーターパネルが象徴的なクラシックMINIのコクピットデザインを現代的にアレンジしたもの。


原点回帰と最先端の融合! EV版「MINI COOPER SE」はクラシックMINIへのオマージュを貫いた進化だ
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シンプルなデザインのコクピット。もちろん、内容は最先端のものです
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センターディスプレイは、インフォテインメントシステムのタッチスクリーンとメーター機能を兼ね備えています。さらに全車にヘッドアップディスプレイを標準化

 そのため、操作系もシンプル化。スタートボタンとシフトレバー、ハザードスイッチなど最小限のボタン類がディスプレイパネル下に集約されており、そのエリアの操作だけで発進が可能です。


原点回帰と最先端の融合! EV版「MINI COOPER SE」はクラシックMINIへのオマージュを貫いた進化だ
MINI
スタートボタンやシフトレバーなど運転機能の操作を集約したパネル。これもクラシックMINIのオマージュです

後席のゆとりはEVの特典? 実用性が増した居住空間

 居住空間は、ガソリン車同様に4人乗りです。フロントシートはこれまで同様に、快適な空間が確保されており、歴代モデル中ではより視界がすっきりしていると感じます。これはシンプルなコクピットデザインと、ガラスエリアのデザインの効果でしょう。


 ただ新世代MINIでは、後席の足元がタイトなイメージでしたが、EVの後席に座ってみると足元にもゆとりがあり、着座も楽々。これならば、大人4人の移動でも快適そうです。ここにホイールベースの拡大分が、活かされています。


原点回帰と最先端の融合! EV版「MINI COOPER SE」はクラシックMINIへのオマージュを貫いた進化だ
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シンプルなデザインですが、オシャレなシート。フロントシートはゆとりもたっぷり
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意外にも実用性の高さを感じたリヤシート。これはEVの特典かも

乗り味は「BMWのような快適さ」
1クラス上以上に高められた快適性

 EVには標準で「C」と「S」のモデルがあり、ADAS(先進運転支援システム)を含む安全装備とモーター性能、電池容量が異なります。試乗車は「S」なので、モーター性能が、最高出力160kW(218ps)、最大トルク330Nmと、エンジン車の「S」よりも少しパワフル。駆動用バッテリー容量は54.2kWhとなり、一充電航続距離が446km(WLTPモード)とされています。


 真夏の試乗時では、100%充電の状態で363kmの表示。直近の走行データなどを基にした数字なので、走行状況により上下しますが、300km以上の走行が可能だと、ロングドライブでの充電の心配がない、もしくは最小限の充電で済む印象なので、利便性の高いEVといえます。


 その走りは、モーターらしい俊敏な加速が味わえ、さらに静粛性も高くて静か。また、固めのサスペンションの印象のあるMINIですが、歴代モデルのしっかりした足回りを受け継ぎつつ、ボディー剛性の高さを活かして乗り味は大きく改善されており、MINIというよりもBMWのような快適さと感じます。


 ただ、モーター特有のきびきびした走りと、それを受け止められるシャシーの組み合わせは、MINI自慢のゴーカートフィーリングをより強めそうです。


 断言できるのは、快適性が従来のMINIと比べると、1クラス上以上高められているということです。


原点回帰と最先端の融合! EV版「MINI COOPER SE」はクラシックMINIへのオマージュを貫いた進化だ
MINI
ラゲッジスペースの容量の標準時210Lは、ガソリン車と共通。ただ後席を倒すと、EVの方が広い800Lを確保する

 その一方で、歴代のエンジン車のMINI COOPER Sに感じるヤンチャさはなく、高性能だけど、スポーティーさが弱まったとも感じるのも正直なところ。刺激を求める人は、EVのJCW(ジョンクーパーワークス)か、同じMINI COOPER Sならガソリン車の方が良いかもしれません。この課題は、いずれ検証したいところです。


 ファッションアイコンとなった現代のMINIでは、EVは正常進化だともいえます。伝統のスタイルを持ちつつ、見事に最先端のデザインにアップデートさせた雰囲気は、未来的であり、エンジン車よりもEVのマッチングが良いとも。


 特に最新のデジタル技術が生んだセンターメーターパネルは、カメレオンのように表示を様変わりさせることができ、その自由さはまさに未来的です。


原点回帰と最先端の融合! EV版「MINI COOPER SE」はクラシックMINIへのオマージュを貫いた進化だ
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気分に合わせて、メーター表示を変更できるのも新MINI COOPERの魅力のひとつ
原点回帰と最先端の融合! EV版「MINI COOPER SE」はクラシックMINIへのオマージュを貫いた進化だ
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原点回帰と最先端の融合! EV版「MINI COOPER SE」はクラシックMINIへのオマージュを貫いた進化だ
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原点回帰と最先端の融合! EV版「MINI COOPER SE」はクラシックMINIへのオマージュを貫いた進化だ
MINI

未来のMINIはEVシフトが正常進化もエンジン車もなくならず

 将来的にMINIは、ブランドのEVシフトを掲げています。

個人的には、エンジン車とEVの棲み分けをもっと図ることで、自分だけのMINIが選びやすいようになると、より楽しいMINIの世界が広がると思います。


 もしMINI COOPERの購入を検討中で、実用性や快適性を重視するならば、ガソリン車とEVを比較することをオススメします。もちろん、いずれがベストなのかは自身のライフスタイル次第ですが、きっと目から鱗が落ちると思いますし、EVのMINIの良さも理解できるでしょう。


原点回帰と最先端の融合! EV版「MINI COOPER SE」はクラシックMINIへのオマージュを貫いた進化だ
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未来感に溢れるEV版のMINI COOPER SE。乗用車としては優れているが、伝統のMINIらしさを求めるならば、ガソリン車の方が良いかも

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