太陽以外の恒星の表面で泡立つガスの動きが、アルマ望遠鏡によって初めて撮影されました。アルマ望遠鏡は、かじき座R星を2023年7月と8月に撮影。
太陽の約350倍の直径をもつ赤色巨星を観測
恒星は、中心核で起きている核融合によってエネルギーを生み出しています。そのエネルギーは高温のガスの泡となって表面に向かって運ばれます。太陽の表面ではエネルギーが光として出ていって冷やされます。そして冷えたガスは周囲より重くなり沈んでいきます。太陽を含め、恒星の内部ではこのような対流が発生しています。そのような対流は、太陽の表面では「粒状斑」と呼ばれる構造を作り出しています。
この画像は、アルマ望遠鏡でかじき座R星を2023年7月18日、7月27日、8月2日に撮影したものです。地球の軌道の大きさを示す円も描かれています。
かじき座R星は、太陽の約350倍の直径をもつ赤色巨星で、かじき座の方向、約180光年の距離に位置しています。質量は太陽とほぼ同じで、50億年後に太陽が赤色巨星になった姿に似ていると考えられています。アルマ望遠鏡は、この星の表面に現れる太陽の75倍もの大きさの粒状斑をとらえただけでなく、どれくらいの速さで運動するのかを初めて捉えたのです。
かじき座R星の粒状斑は1か月周期で動いているようにみえます。これは、太陽の対流の仕組みから予想されていたよりも早い周期です。「その違いの理由はまだわかっていません。星が歳をとるにつれて、私たちがまだ理解していない方法で対流は変化するようです」と、論文の筆頭著者であるスウェーデン、チャルマース工科大学のWouter Vlemmings氏は語っています。
Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/W. Vlemmings et al.
(参照)ALMA、ESO
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