国土交通省は4月26日に、新たな調査項目を加え、分譲マンションを管理する管理組合と所有者に対象に調査した「平成30年度マンション総合調査」の結果を発表した。
●居住者の高齢化が進展、築40年以上の物件は特に顕著
 管理組合や区分所有者のマンション管理の実態を把握するため約5年に一度行っている「マンション総合調査」の最新版「平成30年度マンション総合調査」は、管理組合1668件(回収率40.2%)、区分所有者3211件(回収率38.2%)から有効回答を得た。

 世帯主の年齢は「60歳代」が27.0%でもっとも多く、「50歳代」(24.3%)、「70歳代」(19.3%)、「40歳代」(18.9%)と続く。平成25年度(2013年度)に実施した前回調査と比較すると、「30歳代」が7.8%から7.1%へ減少する一方、70歳代以上は18.9%から22.2%へ増加。完成年次が古いマンションほど70歳代以上の割合は高くなっており、特に昭和54年(1979年)以前のマンションでは、70代以上の割合は47.2%に達した。
●永住意識は過去最高 終の棲家の意識高まる
 回答者のうち、62.8%が「永住するつもりである」と回答。年齢別では、年齢が高くなるほど永住意識が高かった。前回調査との比較では、「永住するつもりである」は52.4%から62.8%へ増加し、過去最高となる一方、「いずれは住み替えるつもりである」は17.6%から17.1%へやや減少した。

 今回調査から新たに加わった項目である、マンション購入時に考慮した項目としては、「駅からの距離など交通利便性」(72.6%)が最多で、「間取り」(63.7%)、「日常の買い物環境」(52.8%)も多かった。
 駐車場使用料などからの充当額を含む、月/戸あたりの管理費の総額の平均は1万5956円で、総戸数規模が大きくなるほど低い。形態別の平均は、単棟型が1万6213円、団地型が1万4660円。駐車場使用料などからの充当額を除くと、平均1万862円となり、単棟型は1万970円、団地型は1万419円だった。
 同じく今回の調査より新規に加わった項目である、マンション管理業者が提供するサービスの範囲として望ましいものとしては、「共用部分の管理」(90.9%)が最も多く、やや離れて「専有部分で発生した水回り、鍵、電気などトラブルへの緊急対応」(66.9%)が続いた。こうした水回りなどのトラブル時の緊急対応は、多くの新築物件ではすでに導入済みであり、有料のセキュリティサービスやスマートホームサービスに付帯されるケースも多い。

●管理費+修繕費のランニングコストは平均毎月2万1000円
 管理状況全般についてたずねると、24.9%が「非常に満足している」、37.9%が「やや満足している」と回答し、合わせて62.8%が「満足」と回答した。理由としては、「マンション管理業者が良いので」(68.8%)、「管理員が良いので」(52.4%)、「管理組合役員が熱心なので」(34.8%)などが上位だった。一方、管理状況に不満な理由としては、「一部の居住者の協力が得られにくいので」(48.5%)が最多で、「マンション管理業者が良くないので」(28.7%)、「管理組合役員が不慣れなので」(26.3%)、「管理組合が機能していないので」(15.2%)といった回答が多かった。
 駐車場使用料などからの充当額を含む、月/戸あたりの修繕積立金の総額の平均は1万2268円で、形態別での平均は単棟型が1万1875円、団地型が1万4094円。駐車場使用料などからの充当額を除くと、平均は1万1243円となり、単棟型は1万1060円、団地型は1万2152円だった。管理費・修繕積立金の合計(駐車場使用料などからの充当額は除く)は、団地型の大規模マンションで約2万2000円、他の一般的なマンションで約2万1000円と、建物購入費用とは別に、毎月2万円程度の費用(ランニングコスト)が発生している実態が浮き彫りになった。

 同じく新規項目である、現在の修繕積立金の積立方式は、均等積立方式が41.4%、段階増額積立方式が43.4%で、完成年次の新しいマンションほど段階増額積立方式の割合が多くなっている。

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