調理家電の進化・多様化に住宅設備が追い付いていないと感じていた。自宅は、近年の新築住宅の定番・壁付けI型対面キッチンで造作壁に2口のコンセントがあり、ジューサーやハンドミキサーなど、ハンディタイプの調理家電を調理台の上で簡単に使える。
このコンセントを利用すれば、レシピ動画などがみられる画面付きのスマートスピーカー「Amazon Echo Show」や「Amazon Echo Spot」、6月発売の新製品「Google Next Hub」などをキッチンに常設することも可能だ。

 キッチンメーカーのシステムキッチンの本体に通常、コンセントはなく、これまでは設計時に検討し、キッチンの造作壁やカウンター部分にコンセントを設置していた。よって設計にこだわりのない建売住宅などでは、キッチン周りにコンセントはなかった。
 しかし、次の定番となりそうな、フラット対面キッチンと横並びにダイニングテーブルを配置するLDKのレイアウトでは、そもそも造作壁がないため、キッチンの使いやすいエリアにコンセントが設置できないという問題が発生していた。
 こうなると、配膳時の動線と調理時の使い勝手、どちらを重視するか、究極の二択となる。この欠点を打開するべく、LIXIL、クリナップはそれぞれ別のアプローチで、「システムキッチン周りのコンセント」を増やすオプションを追加した。

●キッチンにコンセントがあるとハンディ調理家電が便利に使える
 LIXILは、セラミック製ワークトップ、ハイブリッドクォーツシンクも選べるハイエンドシステムキッチン「リシェルSI」に、オシャレな2口コンセントを追加できるオプションを追加し、6月に発売する予定。ワークトップの手前から電源がとれるので、調理台の上でコードの位置を気にせずにハンディタイプの調理家電が使える。カラーは取っ手の色に合わせたシルバー、シャインニッケル、ブラックの3色。
 一方、クリナップは「CENTRO」「STEDIA」「ラクエラ」の3ブランド向けオプションとして、業界初の「対面キッチン用 コンセント付フロントスクリーン」を5月13日に発売した。税別価格は4万8500円から。
 コンロ前に壁のないフラット対面キッチンで、油はね防止やレンジフードへ煙を集めやすくする役割のあるフロントスクリーンのサイドに1口のコンセントを追加。
キッチン側とダイニング側の両方からコンセントを使用でき、使わないときはスライド式のカバーで隠せるため、汚れや水はねなども気にならない。ダイニング側からも使える2Way対応が、従来なかった新しいポイントだ。
 なお、パナソニックのシステムキッチン「ラクシーナ」は標準仕様でシンク下ユニットに2口の「クッキングコンセント」が設置済み(「Lクラス キッチン」「リフォムス」はオプション)。水ダレから差込み口を守る形状で、不使用時や使用中にコードが挟み込まないよう、工夫している。
 また、カウンターのあるスマートステップ対面プランは、キッチン側にコンセントを標準装備し、フラット対面プランでもダイニング側から使えるコンセプトをオプションで用意する。こうしたキッチンメーカーにはない設定・仕様は、住宅設備専業ではない、総合家電メーカーのパナソニックならではだ。

●電源がACアダプタのスマートディスプレイはコンセントが必須
 リフォームなどで、今、キッチンを一からプラニングするなら、スマートディスプレイやスマートスピーカー、スタンドに立てかけたタブレット端末などを設置できるスペースと、給電用のコンセントをあらかじめ確保しておくといいだろう。
 ミニ洗濯機や超音波ウォッシャーなど、USB給電で動作する小型家電がすでに登場している。システムキッチンに、標準仕様で「コンセントがない」問題に関しては、充電式内蔵バッテリや、市販のモバイルバッテリにつないで動作するUSB充電が、ハンディミキサーや炊飯器といったキッチン家電・調理家電にも広がると自然に解決するので、今後の進化に期待したい。(BCN・嵯峨野 芙美)
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