
●働く一人暮らし女性がターゲット
tacookは、2011年にタイガー魔法瓶の女性社員だけで結成された「女性プロジェクト」から誕生した製品。「女性がほしくなるような、かわいい炊飯器をつくる」というコンセプトの元、デザインや商品企画、開発部門から集まった。
一人暮らしの女性社員の中には、「炊飯器のデザインがかわいくないから布をかけている」という声もあったという。家電量販店の売り場に行っても、女性がわくわくするようなデザインの炊飯器がなかった。そうしてつくられたtacookは、キューブ型のデザインにして、操作ボタンをあえて隠すようなパネルカバーを装備することで、炊飯器らしさをなくした。
社内からの反対意見は、思いのほか多かった。「『炊きたて』というタイガーが長年築いてきたブランドをどうするのか」「パネルカバーに茶碗を載せたらどうするのか」など。こうした上司たちの反対意見を、一つ一つ説得しながら開発にこぎつけたという。
ただ、かわいいデザインだけではパンチが弱いため、もう一つアクセントがほしいということになった。女性社員たちの「帰ってから自炊するのが面倒」「ほったらかしておいても料理ができると嬉しい」といった声を反映して生まれたのが、ごはんを炊きながら調理するという発想だった。