「お金になる」というエピソードが先行しているが、ライブコマースの本質的な魅力は、配信者と視聴者のコミュニケーションによって生まれる“共感”にこそある。売買はあくまで、相互の信用の上で成り立つ副次的なものにすぎない。こうした思いから今回のカンファレンスでは、商品の売買を念頭に置くライブコマースだけでなく、幅広いライブ配信に焦点が当てられた。
カンファレンスを主催するのは、市場の発展のために2018年に設立されたライブコマース推進委員会。発起人の一人である長尾純平会長も「ライブコマースはあくまでコミュニケーションのツール」と、イベント冒頭で改めて本質的な価値に言及。
カンファレンスは多数の講演によって構成されていたが、登壇者の所属は多岐にわたる。韓国最大規模のオムニチャネルメディアを展開するGLANCETV、マーケティング手段として注目する電通ダイレクトマーケティング、配信事業者であるJストリーム、プラットフォーマーであるBASEなど、それぞれの立場からライブ配信がもたらす未来を論じた。
とりわけキーワードとして頻出したのが“5G”だ。D2C dotの山下紘史取締役はインテルが発表している「5Gによる世界のメディア収益の増加」に関するデータを紹介。5Gによる収益は20年にはわずかにすぎないが、24年に約半分に達し、28年までに合計で7650億ドルの収益向上が予測されるという。
「特に成長が期待されるのが、投入型メディアと拡張型モバイル広告。これまで1対nにすぎなかったコミュニケーションがn対nのインタラクティブかつ双方向の体験になっていく。5Gにどんなチャンスがあるかではなく、5Gによるビジネスがチャンスを生むはずだ」(山下取締役)
社会の隅々まで5Gが浸透するには2~3年程度はかかると見積もられているが、その間に新たなビジネスは続々と生まれていく。すでに今年5月に5Gが本格化した韓国では、徐々に市場が構築され始めているそうだ。
「LIVE COMMERCE SHOW 2019」の登壇者が語った内容には、成功体験だけでなく多くの失敗談も含まれていた。共通しているのは「継続して挑戦する」ということだ。
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