優れたテレビ番組や俳優、脚本家に贈られる「橋田賞」の授賞式が5月10日(日)に都内で行われた。



 番組部門では、NHK連続テレビ小説『あんぱん』、TBSのスペシャルドラマ『わが家は楽し』、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』、NHKの戦後80年ドラマ『八月の声を運ぶ男』が受賞。

個人では、小日向文世(72)、佐藤浩市(65)、小芝風花(29)、今田美桜(29)、竹内涼真(33)が橋田賞を受賞し、野村昭子賞には岩崎加根子(93)が選ばれた。また、令和7年度橋田賞新人脚本賞では、高橋由佳氏、佐野あすか氏、朝比奈千鶴氏の3名が表彰された。





【橋田賞】今田美桜「のぶは橋田壽賀子の分身」に背筋が伸びる思...の画像はこちら >>



 



 今回の受賞作を見渡すと、家族を描くホームドラマや、市井の人々の人生を追い続けるドキュメンタリーと並び、戦争や平和、記憶の継承に向き合った作品が複数選ばれたことも印象的だった。 



『あんぱん』は、アンパンマンの生みの親・やなせたかしさんと、妻・小松暢さんをモデルに、激動の時代を生きた夫婦の歩みを描いた朝ドラ。制作統括の倉崎憲氏は、26週をかけて描いてきたものは「逆転しない正義」だったと語った。



 また、脚本を担当した中園ミホ氏は、今田美桜が演じたヒロイン・のぶについて「橋田壽賀子先生の分身」だと説明。小松暢さんに関する資料がほとんど残っていなかったため、橋田さんの随筆を読み込み、「普通の聡明な女の子が軍国少女になっていく恐ろしさ」や「正義が逆転する虚しさ」を重ねたという。



 一方、『八月の声を運ぶ男』は、被爆者の声を録音し続けたジャーナリストの実話をもとにした作品。戦後80年という節目に「被爆の無念さのみならず、人は物語りに生かされるということ、語るとは、伝えるとは何かにまで深く迫った」ドラマとして評価された。



 そうした作品群の中で、若手俳優として存在感を放ったのが、NHK連続テレビ小説『あんぱん』でヒロインを演じた今田美桜と、大河ドラマ『べらぼう』などで評価された小芝風花だ。



 今田は『あんぱん』で、明るさと芯の強さをあわせ持つヒロイン・のぶを演じた。受賞スピーチでは、作品『あんぱん』もともに受賞したことに「大変うれしいです」と喜びを語り、中園氏がのぶを「橋田先生の分身」と表現したことには「驚きと、すごく背筋が伸びる思いです」と心境を明かした。





【橋田賞】今田美桜「のぶは橋田壽賀子の分身」に背筋が伸びる思い『あんぱん』で得た“かけがえのない財産”
「背筋が伸びる思い」と明かした今田



 



 1年間の撮影については、「私が演じたのぶさんと一緒に感情を一喜一憂しながら過ごせた一年間は、本当に私の人生のなかでかけがえのない財産となりました」と振り返った。戦争の時代を生きる役を通して、生きることを深く考えたという言葉には、ヒロインを演じきった俳優としてのまっすぐな思いがにじんだ。



 一方、小芝風花は、大河ドラマ『べらぼう』で花魁を力強く繊細に演じ、物語に華やかさと深みをもたらしたことなどが評価された。





【橋田賞】今田美桜「のぶは橋田壽賀子の分身」に背筋が伸びる思い『あんぱん』で得た“かけがえのない財産”
小芝風花



 



 小芝は『べらぼう』について、「自分の中ですごく課題というか、乗り越えなければいけない試練がたくさんあった」と告白。台本を読むと役に感情移入しすぎて、何度同じページをめくっても涙が出てしまうほどだったという。それでも「どうやったらこの素敵な役をみなさんにお届けできるんだろう」と葛藤しながら向き合い、時間をかけてこだわったものは届くのだと学んだと語った。





【橋田賞】今田美桜「のぶは橋田壽賀子の分身」に背筋が伸びる思い『あんぱん』で得た“かけがえのない財産”
『べらぼう』での試練明かした小芝



 



 また、『じゃあ、あんたが作ってみろよ』で評価された竹内涼真は、地方公演のため授賞式を欠席。会場ではビデオメッセージが紹介され、所属事務所ホリプロの代表取締役社長・菅井敦史氏が代理で登壇した。



 竹内は、海老原勝男役について「自分的にも思い入れがすごく強い役」だったと語り、アクティングコーチとともに自身と向き合いながら役作りを進めたことを明かした。本人不在ながら、ひとつの役に真摯に打ち込む姿が伝わる受賞となった。



 朝ドラのヒロインとして作品を背負った今田美桜、大河ドラマで新たな表現に挑んだ小芝風花、そして舞台の地から思いを届けた竹内涼真。今回の橋田賞は、いまのドラマ界を支える若手俳優たちの現在地を映す場にもなった。



取材・撮影:BEST T!MES編集部



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