意外と知られていない、冠婚葬祭などの儀礼と家紋の深い関係

かつて、家制度のシンボルとして、社会の隅々にまで浸透していた家紋は、現代社会にあっても形を変えて暮らしの中で輝いている。日本人の心と伝統美の中に溶け込んださまざまな家紋の姿を探る。
監修・文/楠戸義昭
1940年、和歌山県生まれ。毎日新聞社編集委員を経て歴史作家に。著書に『あなたのルーツが分かる 日本人と家紋』『日本人の心がみえる家紋』『城と姫』『山本八重』など多数がある。
意外と知られていない、冠婚葬祭などの儀礼と家紋の深い関係
五月人形の櫃に付けられた家紋。写真提供/吉徳大光

 家紋は冠婚葬祭の中に深く浸透している。生後一月ほどでする氏神様へのお宮参りに、男の子は家紋5つをつけた祝着を着る。女の子は家紋を普通は付けないが、付ける場合は母親の実家の母の紋を背中に1つつけるそうだ。お食い初めに用意する漆塗りの膳と各食器に紋を入れる習わしがある。女の子は七五三や雛人形に家紋は用いないが、男の子は三歳と五歳のお参りに、五つ紋の羽織を着る。

 男の子を祝う端午の節供の鯉のぼりは、吹流しに家紋を入れる場合が多い。鯉は一番上の真鯉が父親、緋鯉が母親、三番目の青く小さな鯉は男の子を表し、その鯉の上の吹流しは、家を意味するので家紋を付ける。武者幟を掲げる場合も家紋が入る。鎧や兜を飾る場合、それを置く櫃の正面に家紋を付けることもある。

意外と知られていない、冠婚葬祭などの儀礼と家紋の深い関係
男性用の紋付羽織袴
意外と知られていない、冠婚葬祭などの儀礼と家紋の深い関係
女性用の黒留袖

 結婚式では、仲人や花嫁の母親、親族が黒留袖を着るが、黒留袖には背中、両胸、両袖と5つの染め抜き日向紋が入る。新郎新婦の知人が着る色留袖は、背中と両袖のみで、紋は3つ。訪問着で出席する女性も多いが、その紋は背中のみの1つ紋である。紋の数が多いほど格式が高くなる。七五三、入学式、卒業式、茶席などに着る色無地、江戸小紋、付け下げ、小紋といった着物の紋は背中に1つだけで、陰紋や縫紋でもよい。

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