聞き取りの後「後ほど、予約時間等につきまして担当弁護士から連絡をいたします」と言われて電話を切ったものの、待てど暮らせどコールバックはない。HPから「どのようになっていますか?」メールを出しても返信はない。「お電話まだですか」と連絡しても「担当者が留守ですのでもう少々お待ちください」と言うばかり。
Dさんの請求希望額は慰謝料と式場キャンセル代で数十万円程度。「まさか大したカネにならないからスルーされた?」と思ったDさんは、ちょっとした実験を試みた。
同じ法律事務所に別名で電話をし「離婚訴訟を考えている。港区の本宅と、葉山と軽井沢の別荘の財産分与でもめている」と話したのだ。もちろん前回の相談は固定電話から、今回の電話は携帯電話から、と電話番号も変えている。
効果はてきめん。電話が終わった十数分後「担当弁護士」から相談予約について丁寧なコールバックがあったのだ。
「弁護士も商売ですから『コスパの良くない仕事はパス』なんでしょうけど。まあ、普通に倫理観を疑いますよね」とDさんは苦笑する。無料法律相談をする法律事務所もピンキリのようである。
●必ず複数の弁護士に相談をいずれにしても言えるのは、法律について相談する時は必ず複数の弁護士に相談するべき、という点である。
テレビの某法律相談番組で、弁護士によって意見が大きく分かれるのを目にした機会は誰にでもあるだろう。実社会でもあれと同じなのだ。ある弁護士が「そんなお金取れないですよ」と言っても、別の弁護士が「確実に取れるお金です」と言い、また別の弁護士が「別の方法で交渉すればもっと有利かもしれない」と違ったことを言うケースは決して珍しくない。
医療現場ではセカンドオピニオンの重要性がいわれて久しいが、弁護士の場合、セカンドオピニオンどころか、無料法律相談のサード、フォース、フィフスのオピニオンが身を助ける結果を生むこともおおいにあり得るのだ。
(文=ライター/高橋怜)