経済社会小説をユダヤ問題と勘違いして書籍広告を拒否 事なかれ主義が蔓延する大手新聞社

経済社会小説をユダヤ問題と勘違いして書籍広告を拒否 事なかれ主義が蔓延する大手新聞社
 【前回までのあらすじ】
 見て見ぬふりをするのが “常識”の政治部記者のなか、業界最大手の大都新聞社の深井宣光は特別背任事件をスクープ、報道協会賞を受賞した。深井は、堕落しきった経営陣から“追い出し部屋”ならぬ“座敷牢”に左遷され、飼い殺し状態のまま定年を迎えた。今は嘱託として、日本報道協会傘下の日本ジャーナリズム研究所(ジャナ研)で平凡な日常を送っていた。そこへ匿名の1通の封書が届いた。ジャーナリズムと無縁な経営陣、ネット市場の急成長やリーマンショックにより広告が急減、部数減と危機的な現状に対し、ジャーナリストとしての再起を促す手紙だった。そしてその封書は、もう一人の首席研究員、吉須晃人にも届いていた。旅行に出ていた吉須と4ケ月ぶりに再会し、吉須から例の封筒について話を聞こうと画策する深井だったが……

 独演会がひと段落した時には、吉須晃人は牛鍋の三皿目を3分の2近くひとりで平らげていた。

 「もう、帰ります?」
 「いや、もう一軒、静かなところに行こう。ちょっと、面白い話があるんだ」

 深井宣光が水を向けると、吉須はそう言って、手を上げた。配膳係のおばさんに支払いを済ませると、店を出た。向かった先は歩いて5分ほどのホテルだった。

 「リバーサイドホテルですか」
 「そう。そこ。もしかしたら、エキサイティングな場面に遭遇するかもよ」

 身長160cmそこそこで小柄な深井に対し、吉須は170cmを超すがっちりした体格。吉須が少し急ぎ足で歩くと、深井は並んで歩くのがやっとで、何も聞かずに吉須に従った。


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