家賃は崩壊している?「平均的な家賃」のウソ 不動産業界のいびつな情報流通構造

 家賃の相場データが高めに表示されるのには、いくつかの理由がある。

 第一に、「最多価格帯」ではなく「募集データの平均」を取ると、どうしても高いほうに引っ張られてしまうからだ。一世帯当たりの平均貯蓄額が1500万円との調査結果に接して、多くの人が違和感を抱くのにも似ていて、家賃も平均値を取ったとたんに実情を表しているとはいえなくなるわけだ。

 東日本レインズによる東京23区の平均家賃をみてみると、2014年1~3月時点では、9万7000円(32.90平米)である。ピークだった08年7~9月期の12万3000円からすれば、2割以上下落していることがわかり、この推移をみるだけでも、家賃崩壊現象がまさにこの数年に起きている現実が如実に見て取れる。

 しかし、家賃の絶対額は依然として高く、「平均的な家賃」と呼ぶには違和感がある。


 それは、「表参道の1DK、18万円」と「南千住の2DK、5.3万円」も一緒くたにして計算しているからであって、東京23区に住んでいる人は、みんな9万円くらい払っているわけではない。

 参考になるのは、いま自分が住んでいる部屋と同じ条件の物件がいくらの家賃で募集されているかだけであって、それ以外の平均値などは、なんの意味も持たないのである。

 第二に、表面家賃と実質家賃の違いが挙げられる。

 家賃を一定期間(1~3カ月)無料にする「フリーレント」と呼ばれるオプションを付ける物件が最近目立って増えてきたが、それは実質的には家賃の値引き行為にほかならない。それにもかかわらず、なぜかその値引きは統計データに一切反映されない。

 例えば、家賃12万円で募集している部屋に、2カ月のフリーレントが付いている場合、2年間の契約期間の総額でみると、通常より24万円安くなっている計算。1カ月当たりにならせば1万円安くなっているのだから、家賃11万円にしたのと同じことである。

 ならば、どうして最初から家賃を11万にしないのかというと、家賃を安くしてしまうと、すでに入居しているほかの部屋の人から「うちも安くして」と要求されかねないからだ。一定期間無料で、家賃は1円も値引いてないフリーレントであれば、そんな心配は一切ない。

 また、収益物件として転売するときに、家賃を安くしてしまうと、「利回り」と呼ばれるその物件の収益性を計る指標が低くなるが、フリーレントであれば収益性をより高く見せることができる。

 従って、大家はできるだけ家賃は下げずに、目に見えないところで実質的な値引きをしたがるのだが、表面に出てこないために、実質的な家賃は下がっているにもかかわらず、調査データなどでは、高いまま表示されがちなのである。


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