昨今の高級時計市場は着実に拡大し、一部の人気機種は本来の販売価格に大幅なプレミアがついてネット上で取引されています。ビジネスパーソンが経験を重ねて管理職になると、相応の装いが求められます。

また、がんばった自分へのご褒美も認められるでしょう。

 そんな時の最適なアイテムが、目立たないようで意外と気になる腕時計です。定期的な手入れさえ怠らなければ、何十年も正確に時を刻んでくれます。当然、世代を超えて愛用できます。初めて腕に着けた瞬間の高揚感は、本物を知る者だけが得られる喜びです。そんな大人の時計を選ぶ基本原則は次の通りです。

(1)時計ブランドとしての明確なポジション

(2)一目で価値が伝わるデザイン

(3)語れる確たる歴史がある

(4)一般認知が確立されている

 今回は、心躍るセレクションを解説と共にご紹介致します。

グランドセイコー「SBGE251」

 グランドセイコーブティック限定モデルです。奇をてらわない本物の安心感あるデザイン。雲上の美しい朝焼けを想起させるピンクゴールド製の回転ベゼル。機械式とクオーツ式を融合させた9Rスプリングドライブムーブメントが生んだ4本目の24時針により、もう一つ時刻を表示できます。裏側はサファイアガラスによるシースルーバック。

シンボルの獅子の紋章をあしらった強化シリコンストラップにも取り換えが可能です。満を持して12月7日発売予定(1,320,000円<税別/以下同>)

ザ・シチズン「Caliber 0100/18Kホワイトゴールド」

 本体ボディの厚さが9.1mm、67グラムに年差プラスマイナス1秒の光発電時計が生む「世界一の精度」が詰めこまれた、まさに芸術品。飽きることのない究極のシンプルなデザイン。寡黙な印象ながらさりげなく贅を尽くした18金ホワイトゴールド製のボディ。アイボリーホワイトの文字盤にワニ革のベルト。持つ人を選ぶ腕時計です。

光が30万キロ進むたった1秒にこだわる物づくりの誇りが伝わる腕時計です。その自信は、無償点検と10年間メーカー保証に表れています。ただし発売本数は世界限定100本のみ(1,800,000円)。

チューダー「ブラックベイ ブロンズ」

 今年9月に銀座に初めての路面旗艦店がオープンしたチューダー。日本での正式展開は昨年始まったばかりの新参ブランドですが、歴史は正統派です。ダイバーズウォッチはフランス、アメリカなどの海軍で採用される信頼性。

ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリで賞を獲得する技術力。世界でその名を知らない業界人はいません。ご紹介するのは、人気のブラックベイのブロンズです。43mmのブロンズ製ケースに文字盤のブラックとのコンビネーションは一度見たら忘れられない個性的な完成度です。同じくブラックのレザーベルトが控えめにボディの存在感を増幅させてくれます(399,000円)。

カルティエ「サントス-デュモン ウォッチ」

 宝石商の王と呼ばれるブランドですが実は、懐中時計の時代だった1904年にルイ・カルティエは友人のサントス-デュモンのために、飛行中にも見ることができる腕時計を製作し業界に革命を起こしました。

そのサントス-デュモンの名を冠したシリーズです。ステンレススチールとゴールドの洗練されたジュエラーらしい組合せ。サイズは日本人向けのSMです。リューズにも7面加工されシンセティックスピネル(人口宝石)が飾られています。ディテールはさすがにカルティエ。ベルトはアリゲーター素材。
上品さがより浮かびあがります(525,000円)。

オメガ「スピードマスター プロフェッショナル クロノグラフ」

 世界でもっとも有名なクロノグラフ時計です。1957年発表以来、視認性の高さ・高精度・堅牢が特徴です。NASAの宇宙計画と共に宇宙飛行士が月面に到着して50年を刻みました。別名「ムーンウォッチ」とも呼ばれています。その先進性ながら手巻きの最新ムーブメントなのも、頑固で男心をくすぐります。ステンレススチールケースには同素材のブレスレットだけでなく、レザー素材のベルトも着用可能です。スポーツマンタイプや大柄の方にはお勧めです(550,000円)

 ご褒美でもありながら、時計に負けない成長するご自身にもっとも似合う時計をいくつか紹介しました。ご参考になれば幸いです。

(文=たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表、東京モード学園講師)

※画像はすべて各メーカーのHPより