「拳銃の押収丁数の推移は、図表4-13(下記参照)のとおりである。近年、押収丁数全体及び暴力団からの押収丁数は、増減を繰り返しながら推移しているが、長期的に見るといずれも減少傾向にある」
図を見てみると、ここ数年、摘発した拳銃の半数以上が暴力団ではなく「そのほか・不明」になっていることがわかる。これはどういうことなのか。
暴力団構成員への規制強化で銃器調達は外注に?神奈川県警の捜査関係者は次のように話す。
「戦時中の日本軍の銃器や、マニアが製造する改造拳銃などが摘発されることも増えていますが、それ以上に『このチャカ(銃)はどこどこの暴力団のもの』と認定できない例が増えている印象です。10年くらい前までは、日本に密輸される拳銃の生産国は大きく分けて4つでした。米国、フィリピン、ロシア、中国です。圧倒的なシェアは米国で、次いで中国、フィリピン、ロシアという順でした。
当時の暴力団関係者は現地まで直接行って買い付け、協力関係にあるさまざまな組織を介して、日本に密輸していました。方法としてはコンテナ便の機械部品に分解して混ぜる、もしくは複数国籍の漁船で瀬どりするなどです。九州地方では福岡県より海上保安庁の警戒のゆるい佐賀県や、長大な沿岸を持つ北海道、東北の海岸などを通じて拳銃が密輸されていました。
密輸された拳銃の多くは、暴力団構成員や関連企業などの『武器庫』マンションなどに厳重に保管されていました。密輸から保管まで組織の管理が行き届いていたと言えます。そのため、警察の摘発はそうした武器庫の存在を探し出し、踏み込むというのが常道でした。