晴れて4月から新社会人生活をスタートさせた新入社員たちも、1カ月以上が経過し、徐々に仕事や職場に慣れて落ち着きつつあることだろう。「まずは現場を知る」というポリシーに基づき、新人を営業部署や販売現場などに配属する企業も少なくないが、芸能事務所の新人はまずタレントのマネージャーを担当させられることが多いという。

そんな右も左もわからない新人マネージャーの失敗談が、しばしばテレビ番組でタレントのトークのネタとして語れるが、逆にその“優秀さ”がタレントを驚かすケースもあるようだ。

 人気お笑いコンビ・おぎやはぎは、5月15日1時~放送のラジオ番組『おぎやはぎのメガネびいき』(TBSラジオ系)に出演し、そんな新人マネージャーの“優秀さ”を披露した。

 まず、「(おぎやはぎの所属事務所である)人力舎に入って18年くらい、ずっと歴代マネージャーにモーニングコールを頼んでいる」という矢作兼は、自分が応答した時の声のトーンでその日は“二度寝”してしまうパターンかどうかをマネージャーが判断し、危険を察知した場合は再度電話をかけるという「面倒くさい」(矢作)かたちをとっており、たまに二度寝したまま電話が来ずに遅刻してしまうこともあると告白。しかし、最近付いた新人マネージャーの“ラストサマー”は仕事が昼スタートのある日、モーニングコールではなく矢作にLINEを送り、「既読/未読」から矢作が起きているかどうかを確認するという「すごいシステムを発明した」(同)という。

 しかし、この方法だと矢作が起きない可能性があるため、その懸念をラストサマーに問い質したところ、「朝は電話しますけど、昼は起きていることも多いのでそうしました」と冷静に答えたという。

 このやりとりを受け矢作は、「今までいなかった。
(会社に)入って何カ月のヤツがさ、そんな合理的なことを考えてスゴイと思うんだよね」と絶賛した。

 一方、相方の小木博明も、ある収録現場で休憩時間に屋外で日向ぼっこをしていると、小木が何も言わないにもかかわらずラストサマーが楽屋に走っていき、小木のスマートフォンを取って持ってきたという。そこで小木が「なんだよ、これ?」と聞くと、「(収録が)始まるまで30分あるんで、小木さん、寂しくなるだろうと思って、ケータイ持ってきました」と答えたというエピソードを披露。小木は「俺、なんにも言ってないのに。今までいなかったからさ、そこまで気が回るヤツっていないじゃん」と矢作同様に驚きの様子をみせた。

●新人を組織の新陳代謝に生かす

 新入社員といえば、初歩的な失敗をして上司の手を煩わせるというが常だが、こうした新人の活躍ぶりは一般企業でも垣間見られるようだ。
大手電機メーカー管理職が語る。

「最近の新人は空気を読まない言動が目立ち、それが周囲をイラッとさせることもありますが、逆に職場の悪しき慣習に疑問を呈したりして、結果として業務改善につながり、こちらも妙に関心してしまうことがあります。また、長年の取引先に対して私たちが言いにくいような内容を新人がズバッと指摘し、かえって相手からありがたがられるケースもあったりするので、新人を入れてちゃんと育てる大切さを痛感します」

 ときに非常識と批判される“現代っ子”たちだが、組織の新陳代謝をもたらす新人を生かすのも殺すのも、上司を含めた周囲の人々次第といえるのかもしれない。
(文=編集部)