ロッテ、検察が大規模捜査へ…裏金疑惑で政治を巻き込む一大事件浮上、役員は出国禁止

 韓国第5位の財閥、韓国ロッテグループが創業以来の危機に瀕している。韓国のソウル中央地検特捜部が10日、ロッテグループの裏金疑惑解明に本格的に動き出し、本社の政策本部や実質的にグループを指揮している重光昭夫会長、創業者の重光武雄氏の執務室や自宅など17カ所の家宅捜索を行った。

 捜査に動員されたのは200人。これはソウル地検の捜査員の4分の1に当たり、同地検としては最大規模の家宅捜索となった。

「武雄氏はすでに韓国ロッテの事業については直接指揮を執っていないので、むしろ昭夫会長をはじめとした現役役員たちがメインのターゲットだとみられています」(関係筋)

 家宅捜索の対象となった17カ所のなかでも注目されているのが、本社の政策本部。ロッテ百貨店のビルの24~26階に役員20人、社員250人が集められ、グループ全体の経営戦略の立案やM&A(合併・買収)などを担当している韓国ロッテの心臓部だからだ。 

「すでに地検は、グループナンバー2で昭夫会長の右腕といわれるロッテショッピング政策本部長(副会長)ら数人の役員に対し、出国禁止措置をとったようです」(同)

 現地メディア報道によると、検察はロッテケミカルが石油化学製品の原料を輸入した際に、ロッテ物産が間に入ることで、通常よりも高い代金を支払い、差額分を裏金として利用したのではないかとみているとう。

 さらにロッテホテルのリゾート事業部門の合併や買収を通して、用地の価格を相場よりも高く設定する方法で裏金を捻出していたのではないかという疑いも浮上。日本に流れたとみられる裏金についても詳しく調べる模様で、ロッテホールディングスの役員にも捜査の手が及ぶのではないかといわれている。すでに14日にはロッテケミカル、ロッテ建設、ロッテドットコムなど系列の約10社の関係先、計15カ所の追加的な家宅捜査が行われた。

●前政権との親密な関係

 韓国ロッテは李明博前政権時代に大きな恩恵を受けて急成長してきたことから、次のような疑惑も多い。

(1)第2ロッテワールド建設の認可を受けるために政界に金品を提供した疑い
(2)釜山のロッテワールド用地の用途変更やビール事業進出、免税店運営の受注などにおいて、前政権の恩恵を受けた疑い

 こうした疑惑が多数あることから、「地検は今年初旬ごろから水面下で動き出していたようだ」(同)という。

「第2ロッテワールドの建設予定地は空港の滑走路に近く、なかなか許可が下りなかった。ところが滑走路の角度を3度変えるというかたちで、許可が下りたのです。このほか中国のM&Aがらみで裏金をつくったのではないかといった話も出ています」(同)

 第2ロッテワールドや中国でのM&Aは、昭夫会長が中心的な役割を演じてきた。昭夫会長は7日からメキシコで行われた国際スキー連盟のイベントに参加、その後米国に飛び、14日にはルイジアナ州につくったロッテケミカルの工場の竣工式に参加、6月に行われるロッテホールディングスの定時株主総会までは日本に滞在するという。

 こうした問題に対して日本のロッテホールディングスは、次のようにコメントしている。

「当社はグループの企業価値向上の礎としてコンプライアンスの遵守を掲げており現在、ロッテグループは韓国検察の捜査に全面的に協力している状況です。当社といたしましては、速やかな事実関係の把握に努めグループの企業価値維持・向上に全力を挙げて参る所存です」
(文=松崎隆司/経済ジャーナリスト)

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