ファンを裏切った『コード・ブルー』、フジ制作陣は登場人物に愛情を持っているのか?

 山下智久、新垣結衣が主演を務める連続テレビドラマ『コード・ブルー』(フジテレビ系)の第6話が8月21日に放送された。平均視聴率は13.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。第4話から横ばい状態で、第6話までの平均視聴率は14.5%と決して悪くはない。ただ、この数字に満足してほしくないという気持ちは拭いきれない。内容も視聴率も、もっと貪欲に追い求められるドラマであることはフジ自身が一番自覚していると思いたい。

 緋山美帆子(戸田恵梨香)が脳死判定を受けた17歳の少年の臓器移植の書類作成に追われるなか、流産により休養中だった冴島はるか(比嘉愛未)が復帰。その日にドクターヘリ要請が入ると、夫である藤川一男(浅利陽介)の心配をよそに冴島も搭乗する。

 ドクターヘリが向かったのは食品会社の保冷庫だった。庫内で大規模な荷崩れが起き、下敷きになって重傷の従業員が多数発生したため、フェローの横峯あかり(新木優子)と灰谷俊平(成田凌)も現場に向かうが、軽傷患者に対応中に電源が落ち庫内に閉じ込められてしまう。

 さらに、冷凍庫内で箱の陰に隠れていた別の重傷患者を発見して動揺する灰谷。出血多量の状態ですぐに処置が必要だったが、フェローの2人は麻酔のない状況下では満足に対応ができない。白石が遠隔操作で指示を出すも、「できません」と横峯が泣き出す始末。白石がフェローには無理だと諦めかけたとき、藍沢は無線で灰谷に話しかけた。「また病院に戻って後悔するのか、今その患者を救うのか」。決断を迫られた灰谷は臆病な自分に立ち向かう決心をし、横峯からバトンタッチし、白石の指示に従って大腿部の切開と止血に成功。藍沢が診ていた患者も無事に一命を取り留め、搬送されていった。

 一方、翔陽大学付属北部病院・救命救急センターでは緋山と名取颯馬(有岡大貴)が脳死少年の移植臓器摘出の対応をしていた。黙々と書類を描き続ける緋山に名取は「文句も言わず書類を書くなんて意外ですね」と言い、臓器摘出手術の立ち会い時には「本当は手術する側にいきたいんじゃないですか」と無神経な発言をする。「書類は彼が生きた証だから手を抜きたくない」という緋山に、名取は複雑な感情を抱く。そして摘出された心臓は橘啓輔(椎名桔平)の息子に移植される可能性が高かったが、結果は候補の2番目で、少年の心臓は別の少女の元へと運ばれるのだった。

 緋山はすべての臓器が摘出された少年を慈しむように、洗髪をしていた。その姿を見た名取は、「僕にとっては4日前に会った1患者で、今日その人が臓器提供者になっただけです……緋山先生のように患者や家族に寄り添えるのが羨ましい」と話す。それを聞いた緋山は、「自分は過去に患者に近づき過ぎてキャリアを失いかけ遠回りをした。でも遠回りした先で見える景色があった。どんな景色を見るかは人それぞれでいい」と返すのだった。名取は自分にもやらせてほしいと少年の洗髪をしながら、少年に「君のお陰で6人の命が助かる」とお礼を言った。

 そして藍沢は、いまだ手に震えが残る天野奏(田鍋梨々花)に、リハビリをしてもピアノが弾ける可能性は低いと事実を伝える。奏は「先生は私から命よりも大事なものを奪った!」と涙を流すのだった。

『コード・ブルー』を、すでに期待を持って見ることはしていない。多分がっかりするだろうと、ある程度の覚悟を持って見ているのだが、それを上回る不快感を抱かせてくれる第6話だった。フジ制作陣に「登場人物の1人1人に愛情を持っているのか? 1人1人が心の中で本当に生きているのか?」と聞きたくなる。

 もう導入から心を叩きのめしてくれて、冴島の復活をあんなに軽く扱うなら流産なんてさせないでほしいと心の底から思った。一連の赤ちゃん騒動は冴島の株を下げただけではないか。視聴者が納得するような落としどころがないままに、冴島だけが心の整理をして何事もなかったかのように第6話にいる。違和感があり過ぎて、あまりにもお粗末な冴島の人生の描き方に腹が立ってしまった。

 緋山と脳死少年との入りも最悪だった。白石とぶつかって床に落とした脳死判定承諾書の書類を拾おうともしない緋山に、その後良いセリフを言わせても説得力がない。何で冒頭にこんな描写を持ってくるのか? この出だしで「緋山にとってどうでもいい書類」と瞬間的に認識してしまったので、後半にどんなに良いことを言っても全部嘘に思えて感動なんてゼロだった。

 フェローたちのことはもう書ききれないので置いておくが、奏が藍沢に「嘘つき!」と吐くシーンにもウンザリとした。もっと丁寧に奏の感情を見せてくれて、やりきれなさや、藍沢にしかぶつけられない深い何かを視聴者がキャッチできていればいいのだが、この重いセリフを言わせるにしては、それまでの描写が薄過ぎる。来週の予告から予想するに、手術中に何か秘密があったようだが、描く順番が悪いせいで奏の存在を受け入れにくい。こんな小娘が藍沢とおばあちゃんとの関係を超えていくのか? 藍沢の医者としての人生をこんなに適当なエピソードで汚さないでほしい……。

 単体でこの第6話だけを見れば、緋山の不倫話や冴島のグダグダもなくテーマがはっきりとしてはいたが、第1話からを通して考えると、どのキャラクターも人格に一本筋が通っていなくて、ストーリーの展開に合わせて成長が止まったり、人格が変わったり、適当に流されたり、ととにかく滅茶苦茶である。

 普通はキャラクターの人格が中心にあって、その上でストーリーが展開されるものではないか? 第1話で白石がリーダーとして現場を仕切り出したとき、成長して現場を牽引していく5人の活躍が見れるのがシーズン3かと期待した。あの描写に期待を持たされたのに、白石が第1話以降、まったくリーダー色を出していないことにも疑問を感じる。

 撮影現場では色々な制約もあるだろう。しかし、根本的に脚本家が登場人物に心を注いでいないように感じてしまい、登場人物たちが可哀そうに思えてくる。もう6話まできてしまった。魅力的だった登場人物たちをこれ以上嫌いにならないためには、見ないことが一番なのかも知れない。でも、一度愛着を持った作品やキャラクターを簡単に切り捨てることもできない……今の視聴率はそんな視聴者の状態を表わしているように感じる。
(文=西聡美/ライター)

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