頑なに内田前監督を擁護する日大経営陣は機能麻痺…巨大学校法人として終わっている

 5月6日の日本大学対関西学院大学のアメリカンフットボール定期戦で、プレーと関係のないところで関学大のQB(クォーターバック)にタックルを行った日大の宮川泰介選手が22日、謝罪会見を行った。宮川選手は悪質なタックルをした理由について、内田正人前監督と井上奨コーチから「1プレー目で相手のQBを潰せ」「潰したら(試合に)使ってやる」などと指示を受けていたことを公表した。

 これを受けて、同日夜に日大広報部がコメントを発表した。しかし、その内容は内田前監督や井上コーチを擁護しようとする組織防衛的なもので、何も新しい情報や見解のない、空しいものとしかいいようがない。

●宮川選手と日本大学、どちらが信じられるのか

 まず、その日大のコメント全文は以下の通り。

「アメリカンフットボール部・宮川選手の会見について

2018年5月22日

本日、本学アメリカンフットボール部の宮川泰介選手が、関西学院大学フットボール部との定期戦でルール違反のタックルをし、相手選手にけがを負わせた件につきまして、心境を吐露する会見を行いました。厳しい状況にありながら、あえて会見を行われた気持ちを察するに、心痛む思いです。本学といたしまして、大変申し訳なく思います。

会見全体において、監督が違反プレーを指示したという発言はありませんでしたが、コーチから『1プレー目で(相手の)QBをつぶせ』という言葉があったということは事実です。ただ、これは本学フットボール部においてゲーム前によく使う言葉で、『最初のプレーから思い切って当たれ』という意味です。誤解を招いたとすれば、言葉足らずであったと心苦しく思います。

また、宮川選手が会見で話されたとおり、本人と監督は話す機会がほとんどない状況でありました。宮川選手と監督・コーチとのコミュニケーションが不足していたことにつきまして、反省いたしております。

日本大学広報部」

 これはあまりに内田前監督サイドを擁護しようとする強弁であり、日大の広報部が本当にこんなことを信じて書いたのか、大いに疑問である。

 宮川選手の記者会見における「陳述書」で時系列的に「誰が何を言ったか」を追っていけば、「故意の暴力の強制」は明々白々といえよう。事前にその指示は井上コーチを通じて行われ、宮川選手がその趣旨を内田監督に確認して「決意」を表明している。試合の前には上級生OBからも念を押され、試合後には監督やコーチから叱責されることもない。指示を実行した組織の「鉄砲玉」に対する態度だ。

 問題が大きくなり、宮川選手が父親とともに内田監督、井上コーチに「真実を明らかにさせてほしい」と申し入れたときも、監督は「しばらく待ってほしい」とした。つまり、指示があったという事実を否定していない。

 これらの事実の指摘、列挙を聞いた上で、日大広報部はなぜ上述のようなコメントを出せるのか。広報部も含めて日大という組織には、組織運営について、あるいは社会的なモラルの保持において大きな欠陥があると思わざるを得ない。

 この問題で内田元監督擁護のようなコメントを出し続けている日大広報部も、担当者個人ベースでは「無理筋」の見解を出さざるを得ないことに矛盾を感じているかもしれない。というのは、関学大の被害者選手側が21日、大阪府警に被害届を提出したとき、次のような報道があった。

「千代田区にある日大本部には多くの報道陣が詰めかけ、日大側のコメントを求めたが、なぜか守衛の男性が対応。『取り次げません。「記者会見はありません」と伝えてくれと言われてます。(広報対応は)「物理的に無理」とのことです』と、広報機能が麻痺していることを伺わせた」(21日付デイリースポーツ)

●日本大学で権勢を振るう内田前監督

 日大広報部が、宮川選手側の指摘にあえて目をつぶるような、納得感が感じられない擁護コメントを出したのには、どんな事情があるのか。

 内田前監督は、実は単なる体育会の一監督ではなく、このマンモス大学の理事、それも常務理事なのだ。日大には34名の理事がいるが、常務理事は5名だけだ。そのなかでも、内田氏は人事担当でもある。人事権を握っているので、田中英壽理事長に次ぐ日大経営部門のNo.2だといわれている。

 大学や学校法人には、理事長と総長(あるいは学長)という職位が並存していて紛らわしいが、総長・学長は教授からの互選などで選ばれ、教育と研究部門のトップであり、学校・学園の経営に当たるのが理事長をトップとする理事会である。一般企業でいえば、理事会は取締役会、常務理事は役職取締役(専務や常務、副社長)、理事長が社長に該当する責任分担だと理解できる。

 日大は日本最大の学校法人で、教職員数は7000人を超えている。この大組織の人事権を握っている常務理事というのは、職員の生殺与奪の力を有しているといっても過言ではない。日本大学の広報部が今回の事件に関連して内田氏擁護的なコメントを連発したのは、流行の「忖度」として十分に理解できることなのだ。広報部がそんな忖度を自覚し、「広報機能が麻痺している」と報じられるほど、やる気がないのかもしれない。

●田中英壽理事長の懐刀

 マンモス大学である日大には労働組合も複数あるが、非常勤講師の組合である日大ユニオンは、5月16日付「Net IB News」記事で次のように語っている。

「日本大学の理事会は体育会に牛耳られています。相撲部出身の田中理事長もそうですが、アメフト部関係者も権力を持っている」

 また田中理事長は、内田前監督の「親分」だとする日大関係者もいる。5月6日の試合中に事件が起き、社会的な大問題となっても内田氏がアメフト部監督を辞任したのが19日、そして日大理事職の座に居続けるのは、田中理事長との強い関係、信任があるからだと推察される。

 今回のような組織全体に重大な影響を与える事件・事案が企業に起きた場合、通常はどのような動きが取られるだろうか。7000人もの社員がいる大企業なら、田中理事長は社長、内田前理事長は専務取締役などに置き換えて事態を想定できる。

 専務が直接統括している事業活動で重大な失態を犯してしまった。それを咎められるのは取締役会ではなく、上司である社長、あるいは会長くらいしかいない。日大の場合、創業家が理事会に参画していないようなので、専務を叱責できるのは社長のみ、という構図だ。

 社業のすべてに最終責任を持つ社長なら、専務の責任を追及するだけでなく、事態の経緯や会社の対応、専務の責任の取らせ方などについて世間に発表、発信しなければならない。それが大企業にふさわしいガバナンスというものだ。

 日大の場合はどうだろうか。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)

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「頑なに内田前監督を擁護する日大経営陣は機能麻痺…巨大学校法人として終わっている」の みんなの反応 3
  • 匿名さん 通報

    内田の後ろ盾、田中英寿理事長こそ巨悪。暴力団、角界、オリンピック利権等々金の匂いがする所には田中あり。自民党の教育族とも大変に仲良し。こいつを駆逐しない限り日大は終わり。

    6
  • 匿名さん 通報

    内田氏の人となりは会見で衆目にさらされた。あの人がNo.2ですか?田中氏がNo.1なら確かに日大は終わっている。だが日本は安倍氏がいまNo.1だがどうする?

    5
  • 匿名さん 通報

    そもそも言われてもやらなきゃこんなことになっていたのでは。やってから言われてやったはないわー。

    0
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