ソフトバンク、巨額役員報酬が業績圧迫の恐れ…副会長は20億円、報酬増額に株主は猛反対

 ソフトバンクグルーブが6月20日に開催した株主総会で、会社側が提案した取締役報酬の改定議案に対する賛成票比率は、66.52%にとどまった。

 金銭による報酬額を取締役の総額で年50億円以内(従来は8億円以内)とするとともに、金銭による報酬額とは別枠でストックオプションとして割り当てられる新株予約権に関する報酬額についても年50億円以内(従来は10億円以内)とした。過大な報酬が業績を圧迫する恐れがあると懸念され、国内外の機関投資家が反対に回った。

「経営のグローバル化に伴い、優秀な人材を確保するため」と会社側は説明している。同社では、2016年6月に副社長を退任したニケシュ・アローラ氏が、総額103億円という国内企業で最大の報酬を受け取った。この時も「大盤振る舞い」との批判があった。

 今回は、お手盛りの役員報酬増額と受け取られ、賛成比率は低かった。高額報酬を受け取った役員は6人で、うち4人が外国人。いずれも海外子会社のトップだ。

【連結報酬総額】
孫正義(会長兼社長)…1億3700万円
宮内謙(取締役、ソフトバンク社長兼CEO)…8億6800万円
ロナルド・フィッシャー(副会長)…20億1500万円
マルセロ・クラウレ(副社長COO)…13億8200万円
ラジーブ・ミスラ(副社長)…12億3400万円
サイモン・シガース(取締役、アームCEO)…4億7900万円

 孫正義氏の取締役選任に対する賛成率は89.58%。ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏を社外取締役に選任する提案への賛成率は87.31%。この2人以外は90%以上だった。

●アルパイン、ファンド提案に賛成3割

 カーナビ大手、アルパインの株主総会は6月21日に開催された。株式の10%近くを持つ香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントが増配を求めた株主提案への賛成率は28.57%で否決された。

 オアシスは大幅な配当の増額や、会社側とは異なる社外取締役の選任を求めていた。オアシスが提案した社外取締役2人の選任の賛成率はエイヴイエルジャパン社長の岡田尚己氏が29.66%、弁護士の宮沢奈央氏が25.44%だった。

 一方、アルパインが提案した社外取締役のうち、オアシスが「独立性に懸念がある」と指摘していた公認会計士の小島秀雄氏に対する賛成率は65.04%にとどまった。米谷信彦社長への賛成率も71.33%で、9割超だった前年から大幅に低下した。

 オアシスはアルパインが2019年1月に予定する、親会社のアルプス電気との経営統合に関し、アルパイン株1株に対してアルプス株0.68株を割り当てる交換比率が低いと主張している。経営統合を決める12月中旬の臨時株主総会で、アルパインは株主の3分の2以上の賛成を得る必要がある。

 オアシスの提案に対する賛成比率は3分の1を超えなかったが、会社側が提案した米谷社長をはじめとする取締役の選任議案への賛成率は軒並み7割台。臨時株主総会での「3分の2」をめぐる攻防は激しさを増すだろう。

 アルプス電気が株式の交換比率を引き上げるかどうかが今後の焦点となる。

●ミズノとトクヤマの敵対的買収防衛策に投資家は反対

 スポーツ用品大手、ミズノの株主総会は6月21日に開かれた。水野明人社長の取締役選任議案の賛成率は64.46%と、極端に低かった。今年は、買収防衛策は議案として出ていないが、敵対的な買収提案があった際に向けて新株予約権を既存株主に割り当てるなどの買収防衛策について、「経営者の保身に使われかねない」として機関投資家が難色を示していることが、水野社長の賛否にも影響したとみらる。ほかの取締役への賛成率も軒並み7割台と低かった。

 半導体シリコンの世界大手でセメントなども製造するトクヤマが6月22日に開催した株主総会で、会社側が提案した買収防衛策への賛成率は56.70%だった。かろうじて承認されたものの、コーポレートガバナンス(企業統治)の緊張感がなくなるとして、国内外の機関投資家は反対に回った。

 トクヤマは3年ごとに買収防衛策を更新している。前回、2015年の株主総会での賛成率は65.88%だったが、今回は一段と下がった。さらに3年後の21年の総会で、買収防衛策が承認されるのは厳しくなるだろう。楠正夫社長の賛成率は89.52%で、全取締役の中でひとりだけ賛成率が9割を下回った。
(文=編集部)

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